バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


 <『拝啓ラッセル様ー一般市民との往復書簡』から>

 私は研究活動に従事しているアメリカの黒人です。私が取り組んでいる特別プロジェクトは過去にアメリカ(人)が好んだ気晴らしの一つ、即ち(黒人に対する)リンチという扱いの難しい問題です。今はほとんど消滅しましたが、かつては主として米国の南部地方で盛んに行われていました。私は、あなたがお手紙の中で、このこの問題について述べておられましたことに対して、いつも感謝しています。

(ラッセルからの返事:1964年4月30日付)
 拝復 グローバー様
・・・。お手紙大変ありがとうございます。アメリカ南部における(黒人に対する)リンチについて真剣に研究することは大いに必要です。私が時々受け取る情報によれば、リンチは決してなくなっていません。アメリカ南部諸州の警察の振る舞いを見ると、理不尽な殺人が何ら報復を受ける恐れなしに、ほしいままに行わうことが可能であるように思われます。アメリカ南部における残忍な行為の本質とその全容を記録することは最重要であると考えています。
 敬 具
 バートランド・ラッセル

'... I am an American Negro involved in research work ... my particular project concerns the touchy problem of one of America's favorite pastimes of days gone by -- lynching. Now almost extinct, it once flourished mostly in the southern regions of the United States. I would be forever grateful for your comments in a letter on this particular subject. ...'

April 30, 1964
Dear Mr Glover,
Thank you very much for your letter. There is a great need for serious study of lynching in the American South which is by no means extinct according to information which I receive from time to time. The behaviour of Southern American police appears to be such that wanton murder can be indulged in without fear of reprisal. I think that it is most important to document the true nature of brutality in the American south and the full extent of it.
With good wishes,
Bertrand Russell
 Source: Dear Bertrand Russell, 1969.
 More info.: https://russell-j.com/beginner/DBR5-12.HTM

<寸言>
 ラッセルがこの手紙をだしたのは今から約60年前の1964年のことです。
 幼い時に親や周囲の大人に差別意識を吹き込まれることなく、いろいろな肌の子供と一緒に遊べば(インターナショナル。スクールなどで学べば)、おとなになってから肌の色が違うというだけで、相手を蔑んだり、優越感を抱いたりすることはないはずです。
 差別にも段階/レベルの違いがあります。差別意識を持つが外に表すことがない段階、差別意識を持ち表情に表したり口でいったりするが行為には及ばない段階。最悪なのは、虐待や暴力を行う段階です。
 そういった差別感情も、多数派になれば「堂々と」「後ろめたさなしに」「時には正義の衣を着て」発揮することができますのでやっかいです。

 
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