バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


 <『拝啓ラッセル様ー一般市民との往復書簡』>

'・・・。私は、過去23年間幸福に結婚生活をしてきました。そして一番下が8歳、一番上が21歳の、5人の子どもがいます。約2年前、私の妻は同性愛を始めました。・・・。妻は、他のことでもそうですが、あなたの『なぜ私はクリスチャンでないか』の p.55 を根拠に、この同性愛を正当化しています。

(ラッセルからの返事・1959年11月24日付)
 同性愛についての私の態度は、同性愛は異性愛と同様に考えるべきだということです。「直接の当事者だけの問題にすぎない」と私が言うとき、その中に直接の当事者である夫か妻を含んでいることは当然のことながら、子供達もまた明らかに関わりがあります。こうした家族との関係を考慮すると、しばしば、婚外の同性愛関係や異性関係は望ましくないものとなります。しかし、結婚をしている2人のうちの一方が誰か伴侶以外の他の人と深くかつまじめな恋愛関係にあるならば、その結婚生活が幸福のまま続くことはほとんど不可能でしょう。そしてときには離婚が最良となるでしょう。そのような問題に対して一般的なルールを作ることはできません。

'I have been happily married for the last 23 years and have 5 children ages ranging from 8 to 21 years. About two years ago, my wife began a homosexual relationship. ..."

Dear Sir,
My attitude about homosexuality is that it should be regarded no differently from heterosexual relations. When I say that it is a matter only for the people immediately concerned, I should certainly include a husband or wife as immediately concerned; and the children also, obviously are concerned. Very often these family considerations would make extra-martial homosexual or heterosexual relations undesirable, but, if one party to a marriage is deeply and seriously in love with someone else, it is hardly possible for the marriage to remain happy, and sometimes divorce would be best. One cannot make general rules in such matters.'
 Source: Dear Bertrand Russell, 1969.
 More info.: https://russell-j.com/beginner/DBR4-33.HTM

<寸言>
 どうしても自分の生まれつきの性癖なり生理的前提条件のもとに考えてしまいがちです。
 世の中は、何事も多数派に有利なようにできています。従って、性的傾向についても、異性愛者が社会的にもっとも有利であり、LGBT+Qは社会的ハンディを負うことになります。LGBTQのなかでも人数が比較的多いグループは相対的に理解者が多く存在しています。しかし、L,G,Bに対する理解者が最近増えてきていますが、Tに対しては理解者が少なく、Qにいたっては「???」(疑問符)がいっぱいつきそうです。

 それにしても、自民党支持の保守層の頑迷さは際立っています。そういった保守層の家族や親戚にもLGBTQの人はいそうですが、叩かれるのが怖くてカミングアウトできない人が少なくないかも知れません。いや、自民党の保守層の有力議員なかに、身近にLGBTの人がいて態度が変わった人がいます。そう、稲田朋美議員です。安倍総理の秘蔵っ子で、とても身勝手な印象を持っていましたが、自分の子どもの親友がLGBTだということで考えが変わり、今では、驚くことに、LGBT理解促進法案の推進役を務めています。

 結局、原発(事故・処理水の扱い)であれ、新型コロナであれ、いかなる差別が伴う事案も、自分や自分の家族がまったく関係ない場合は無責任に発言をする人が少なくなく、直接関係したり、被害を受けるようになると態度が急変します。

 自分や自分の家族や友人に関係ないことでも、また自国に関係ないことでも、できるだけ多くの問題について関与したり、関与できなくても理解しようとし続けたラッセルの生涯は、見習うべきものと思われます。

 
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