バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


 しかし,全てこうしたことは,私達の日常の背景であり,私の主たる関心事であった国際問題の暗い世界からの息抜きであった。・・・。私は,『倫理と政治における人間社会』の中のいくつかの部分(要点)を,BBC放送で繰り返し説明すれば,多分,それまでになされた以上のより強い印象を人々に与えるだろうと考えた。・・・。現在「人類の危機」と呼ばれているその放送(1954.12.23)を,私は次の言葉で締めくくった。 「もし我々が選ぶならば,我々の前途には,幸福,知識,知恵における絶えざる進歩が横たわっている。我々は,喧嘩が忘れられないからといって,それらの代りに死を選ぶだろうか。私は,人類に対し,一人の人間として訴える。『あなたがたの人間性を思い出し,それ以外のことを忘れよう。それができれば,新しい天国への道は開かれている。しかしそれができなければ,未来には全体的破滅以外ないだろう。』」

But all this was the daily background and the relief from the dark world of international affairs in which my chief interest lay. ... I thought that perhaps if I repeated parts of Human Society on the BBC it would make more impression than it had hitherto made. ... The broadcast, now called 'Man's Peril', ended with the following words: 'There lies before us, if we choose, continual progress in happiness, knowledge, and wisdom. Shall we, instead, choose death, because we cannot forget our quarrels? I appeal, as a human being to human beings: remember your humanity, and forget the rest. If you can do so, the way lies open to a new Paradise; if you cannot, nothing lies before you but universal death.'
 Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3
 More info.: https://russell-j.com/beginner/AB32-150.HTM

<寸言>
 唾棄すべき存在だと非難し続けてきたスターリン(1878-1953)も1953年3月5日に死亡し、ソビエト連邦は集団指導体制となり、フルシチョフが共産党の第一書記になります。フルシチョフはスターリン批判によってスターリン独裁と恐怖政治を世界に明らかにし、平和共存政策に転換していきます。
 一方アメリカは、1954年3月1日にビキニ環礁で水爆の実験を行い、日本の第五福竜丸は被爆してしまいます。
 ラッセルは、核兵器の問題については、あるいは、人類の生存の問題については、政治体制や主義主張以前の問題として、中立的な態度で反核運動を本格的に始めます。その象徴的な現れの一つが、1955年7月9日の「ラッセル=アインシュタイン宣言」です。

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