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歴史学と地質学は,我々を「今」から連れ去り、天文学は我々を「ここ」から連れ去る。これらの研究に心をうばわれている人々は、自我は時空の流れの極めて特定の部分(のみ)を占めているという事実について、偶然かつとても些細なものが存在しているという感情を持つ(得る)。彼の知性は、しだいにより大きくこれらの物的な必要物から引き離されるようになる。知性は,このようにして、その人の思考が動物的欲求によって縛られている者には不可能な一般性や展望や力を獲得する。
History and geology take us away from the now, astronomy takes us away from the here. The man whose mind has been filled with these studies gets a feeling that there is something accidental, and almost trivial, about the fact that his ego occupies a very particular portion of the space-time stream. His intellect becomes gradually more and more detached from these physical needs. It acquires in this way a generality and scope and power which is impossible to one whose thoughts are bounded by his animal wants.
Source: Bertrand Russell : Philosophy for Our Time (1953).
More info.: https://russell-j.com/beginner/1026_PfOT-020.HTM
<寸言>
地球科学=地学 > 地質学 ですね。
ラッセルの時代は、宇宙論はそこそこ進んでいても、地球科学はそれほど進んでいませんでした。歴史学(歴史研究)は、文字による記録が始まった以降をとりあつかう場合もあれば、「人類史」や「地球の歴史」のように人間が残した記録にこだわらずに、あらゆる物事の時間的経過を扱う場合があります。
いずれにせよ、実際的なことにこだわらない理論的研究は、我々人類がどうしても制約を受ける「今(the now)」と「ここ(the here)」という制約を可能な限りとっぱらおうとします。その最北?にあるのが、理論哲学です。人間は人間であるという制約をどうしてもとりはらうことはできませんが、それさえも取り払おうとします。不可能な取り組みでしょうが・・・。
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