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(オーストラリアから)英国への帰国の途中,私の乗った飛行機は,シンガポール,カラチ,ボンベイ,その他数ケ所に着陸した。・・・後に私は,(1950年)8月26日付の『シドニー・モーニング・ヘラルド紙』の切抜で,シンガポールでの私のスピーチに関する記事を見つけて読んだ。その記事は,私が次の様に述べたと報じていた。 「英国は,インドで行った様に,アジアから品位を保ちながら撤退すべきであり,戦争によって追い出されるのを待つべきではない,と考えます。・・・。そうすることによって,英国は,アジア諸国の善意を勝ち得ることができ,パンディット・ネール首相(の指導の下,中立のアジア・ブロックが形成できると思われます。・・・」
On my way home to England my plane stopped at Singapore and Karachi and Bombay and other places.... Later, I saw from a cutting from The Sydney Morning Herald for August 26th, an account of my speech at Singapore. It reported my saying: 'I think that Britain should withdraw gracefully from Asia, as she did in India, and not wait to be driven out in the event of a war. . . . In this way good-will will be won and a neutral Asian bloc could be formed under the leadership of Pandit Nehru. ..."
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB31-190.HTM
<寸言>
ラッセルは各国からの招待を受けて世界中を旅行していますが、中南米、アフリカ中部・南部及びカナダなどは旅行していないと思われます。もちろんもっと細かくみれば、東南アジア、中近東、ニュージーランドも訪問していないでしょうが、当時の人間としては非常に多くの国を訪れています。欧米だけでなく、ソ連・中国・日本なども訪問し、「経験主義者」の面目躍如です。理論哲学においては、論理実証主義に近いと言っても論理実証主義に対しては批判的なところがありました。論理経験主義という言い方もあったりしますが、厳密に言えば「論理」「経験」主義というのは矛盾した表現です。
ともあれ、ラッセルの幅広い経験と知識がラッセルの書いた文章を興味深いものとしています。
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#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell