バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

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 理想主義として通っているものの多くは,偽装された憎悪か,あるいは偽装された権力欲(権力欲の偽装)です。人間の大集団が一見気高い(高邁な)動機によってゆり動かされるのを見る時,その動機の下にあるものを見て,そういった動機をこのように効果的なものにしているのは何んだろうと自問したほうがよいでしょう。私が試みてきたような心理学的探究が実行に値するのは,一部分は,見かけだおしの気高さに騙されることがきわめて容易だからです。結論として私が言いたいのは,もし私の言ったことが正しければ,世界を幸福にするために必要とされる主要なものは知性であるということです。そして,これは,結局,楽観主義的な結論です,なぜなら,知性は既知の教育方法で育成できるものだからです。

Much that passes as idealism is disguised hatred or disguised love of power. When you see large masses of men swayed by what appear to be noble motives, it is as well to look below the surface and ask yourself what it is that makes these motives effective. It is partly because it is so easy to be taken in by a facade of nobility that a psychological inquiry, such as I have been attempting, is worth making. I would say, in conclusion, that if what I have said is right, the main thing needed to make the world happy is intelligence. And this, after all, is an optimistic conclusion, because intelligence is a thing that can be fostered by known methods of education.
 Source: What Desires Politically Important? 1950
 More info.: https://russell-j.com/beginner/0944WDPI-160.HTM

<寸言>

 政治家の語る理想主義はうさんくさいものが多いですが、そんな理想主義(たとえば、河野大臣の原発ゼロあるいは脱原発)さえも、閣僚になれば政府の方針(原発は重要なベース電源)に従い、お蔵入りとなります。

 一方、丸川五輪(オリ・パラ)大臣は、結婚して大塚になっても丸川を名乗っているので、夫婦別姓あるいは選択制に賛成しているのではないかと思いきや、夫婦別姓に反対するように自民党の地方議員に働きかけています。それを問われると、政府の方針(男女共同参画社会の実現、夫婦別姓についても世論の動向にあわせて前向きに検討)に従うと答えています。つまり、そういった反対運動は閣僚になる前にやったことだから問題なしとのことです。

 閣僚になって自説と反対の政府方針に従う議員の皆さんも、自分は絶対に変節せず信念をまげないことを選挙演説で強調します。政治家の信念は主張することに意義があるのであって実行することに意義があるのではない(オリンピックの精神?)と言っているようなものです。

 政治家の発言の何を信じたらいいのかよくわかりません。「信じなさい、信じる者は救われる」と言うのなら、宗教家に転職したほうが良さそうです。

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