バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

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 言葉から情緒を取り除き、明晰な論理的意味で置き換える技術を経験することは,もし興奮させる宣伝の渦中においても平静を保ちたいと望むなら、その人にとって大変役立つであろう。1917年に、ウィルソン(米国大統領)は,あらゆる民族国家(nation)は自らの問題を処理する権利を持つという民族自決の大原則を宜言したが、不幸にして彼は「民族国家(nation)」という言葉の定義を添えることを忘れていた。アイルランドは一つの民族国家であったか? 確かに、そうである。(それでは)北東アルスター(注:英国領となっている北アイルランドのこと)は一つの民族国家であったか? プロテスタントはそうだと肯定し、カトリック教徒はそうでないと否定し,そうして辞書は黙った(何も記載されなかった)。

Experience in the technique of taking the emotion out of words and substituting a clear logical significance will stand a man in good stead if he wishes to keep his head amid the welter of excited propaganda. In 1917, Wilson proclaimed the great principle of self-determination, according to which every nation had a right to direct its own affairs; but unfortunately he forgot to append the definition of the word "nation." Was Ireland a nation? Yes, certainly. Was northeast Ulster a nation? Protestants said yes, and Catholics said no, and the dictionary was silent.
 Source: Bertrand Russell, : Ideas That Have Harmed Mankind,1946
 More info.: https://russell-j.com/beginner/0868_PfCT-050.HTM

<寸言>
 同じ言葉をお互い違った意味で使えば、議論がかみあわなくなるのは当たり前です。しかし、日本においては、政治的議論/論争においては、それを承知で言い合うことが少なくないのは不幸なことです。
 官僚の国会などでの答弁はその逆で、失言にならないように、無味乾燥な、守りの言葉遣いに徹する場合が多く、面白みがないものです。
 非論理的で議論が噛み合わない政治家の演説(ただし面白い場合あり)と、一見論理的ではあるがわかりにくくて中身があまりないように見える官僚の答弁とを比べると、どちらがましだと思いますか?

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