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1944年に英国に戻ると,あるいくつかの点で私の物の見方が変わったことに気付いた。私は,もう一度,英国では一般的である,議論(討論)の自由を享受することができた。・・・。
英国人のあまり熱狂的でない態度は,私自身の熱狂性を減じ,そして母国にいるんだという感情にひたり,喜んだ。この感情は -悪人として扱われ,青年たちに対し制限された接触しか許されないという状況から変わって - 1940年代の終わりにBBCに招かれて最初の(第1回)リース記念講義を行った時にさらに高まった。私は,かつて以上に,自由な議論の雰囲気を賛美し,これが講議の主題を選択することに影響を与え,私は主題を「権威と個人」とした。それらの講義は,1949年,『権威と個人』という書名で出版された。
When I had returned to England in 1944, I found that in certain ways my outlook had changed. I enjoyed once more the freedom of discussion that prevailed in England, but not in America. ...
The less fanatical attitude of English people diminished my own fanaticism, and I rejoiced in the feeling of home. This feeling was enhanced at the end of the forties when I was invited by the BBC to give the first course of Reith lectures, instead of being treated as a malefactor and allowed only limited access to the young. I admired more than ever the atmosphere of free discussion, and this influenced my choice of subject for the lectures, which was 'Authority and the Individual'. They were published in 1949 under that title and ...
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB31-100.HTM
<寸言>
アメリカは「自由の国」であり「多様性に富んでいる」とのことで、多くの移民がアメリカを目指してやってきました。しかし、実際は「自由の国」とは言えない側面が少なからずありました。アメリカは宗教国家とも言え、キリスト教徒でない者は、ましてやラッセルのようなキリスト教に批判的な者は、社会を乱す者として、「魔女狩りの対象」となる危険があります。
それに比べ、イギリスは大人の国です。イギリス人はみな一国一城の主であり、多くの亡命者も受け入れてきました。資本主義を否定するマルクスさえも、資本主義国家のイギリスは(思想の自由を認めて)亡命者として受け入れました。日本だったら村八分になるところでしょうが・・・。
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