バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

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 教育における改革は,大部分,精神障がい者及び精神薄弱者の研究を通して進んできた。なぜなら,彼らは自分たちの機能不全に対して道徳的に責任があるとは考えられず,従って,正常な子供たちよりも,より科学的に取り扱われてきたからである。つい最近まで,もし少年(子供)が課業を学ぶことができないときには,杖か鞭でたたく(打つ)ことが適切な対処法(矯正法)であるとみなされていた。こういった見方は,子供の取り扱いに関するかぎりほとんど消え去ったが,それは刑法の中に生き残っている。

Reforms in education have come very largely through the study of the insane and feeble-minded, because they have not been held morally responsible for their failures and have therefore been treated more scientifically than normal children. Until very recently it was held that, if a boy could not learn his lesson, the proper cure was caning or flogging. This view is nearly extinct in the treatment of children, but it survives in the criminal law.
 Source: Bertrand Russell, : Ideas That Have Harmed Mankind,1946
 More info.: https://russell-j.com/beginner/0466HRMUC-150.HTM

<寸言>
 象徴的なのは刑法でしょうか? 多くの先進国が死刑制度を廃止しましたが、日本とアメリカでは死刑制度が残っており、安倍政権下では多くの死刑執行が行われました。
 それはともかくとして、「教育における改革は,大部分,精神障がい者及び精神薄弱者の研究を通して進歩してきた」というのは、『教育についてー特に幼児期における』(1926年刊)でも次のように述べています。
「セガン(E. O. Seguin ,1812-1880: 白痴研究で有名)の時代以来,幼児(たち)に対する教育方法の進歩は,ある面でまだ精神的に幼児である 白痴や精神薄弱者の研究に端を発していることは注目に値する。私の信じるところでは,このような遠回りが必要があった理由は,精神病患者の愚鈍さは責められるべきものとも,また折檻によって治せるものとも考えられなかったためである。私の信じるところでは,それは,精神病患者の愚鈍さは責められるべきものとも,また,折檻によって治せるものとも考えられなかったためである。(即ち)アーノルド博士のむち打ちの処方箋によって,こういう人たちの「怠けぐせ」が治されると考える人は,誰もいなかった。その結果,患者たちは,怒りをもってではなく,科学的に取り扱われた。(つまり)彼らが理解できないときでも,教育者は誰も,怒り狂ってどなりつけたり,自分のことを恥ずかしく思えと言ったりしなかったのである。もしも,人びとが子供たちに対してお説教をする態度ではなく,科学的な態度をとる気になっていたならば,まず(最初に)精神的に欠陥のある人びとを研究しなくても,子供の教育方法について現在知られていることを発見することができていたであろう。」
(It is remarkable that, ever since the time of Seguin, progress in educational methods with young children has come from study of idiots and the feeble-minded, who are, in certain respects, still mentally infants. I believe the reason for the necessity of this detour was that the stupidities of mental patients were not regarded as blameworthy, or as curable by chastisement ; no one thought that Dr. Arnold's recipe of flogging would cure their "laziness". Consequently they were treated scientifically, not angrily; if they failed to understand, no irate pedagogue stormed at them and told them they ought to be ashamed of themselves. If people could have brought themselves to take a scientific instead of a moralizing attitude towards children, they could have discovered what is now known about the way to educate them without first having to study the mentally deficient. )

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