バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

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 残酷な行為を正当化する意見は残酷な衝動によって吹き込まれるという主張(thesis 命題)を支持する事例をたくさんあげることは容易であろう。現在では馬鹿げていると認識されている昔のいろいろな見解を再考してみると,十中八,九,それらが苦しみを加えることを正当化するような見解であることがわかるであろう。・・・。次の詩によって,これまでどれだけ多くの残忍な行為が正当化されてきたかを考えてみよう。

 犬や女房やクルミの樹は,
 打てば打つほど良くなる

 クルミの樹を鞭打つことによる道徳的効果について,私はまったく経験したことはない。しかし,文明人であるならばこの詩の妻に関するところを正当化する人は一人もいないであろう。罰による改善効果は,なかなか消えてなくならない信念であるが、その主な理由は罰することがわれわれのサディズム的衝動を非常に満足させるということにあると私は考える。

It would be easy to multiply instances in support of the thesis that opinions which justify cruelty are inspired by cruel impulses. When we pass in review the opinions of former times which are now recognized as absurd, it will be found that nine times out of ten they were such as to justify the infliction of suffering. ... Consider how much brutality has been justified by the rhyme:

A dog, a wife, and a walnut tree,
The more you beat them the better they be.

I have no experience of the moral effect of flagellation on walnut trees, but no civilized person would now justify the rhyme as regards wives. The reformative effect of punishment is a belief that dies hard, chiefly I think, because it is so satisfying to our sadistic impulses.
 Source: Bertrand Russell, : Ideas That Have Harmed Mankind,1946
 More info.: https://russell-j.com/beginner/0861HARM-030.HTM

<寸言>
 日本においても、近代的かつ科学的なスポーツ精神にもどついている場合は、旧い時代の精神主義は現在ではほとんどみられません。しかし、相撲、柔道、その他の、日本の伝統的なスポーツの指導においてはあいかわらず精神主義的なものが残っており、現在でも、しばしば体罰が問題にされます。一番古臭いのは相撲の世界でしょうか?

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