ラッセル関係電子書籍一覧 |
典型的な,アメリカの魔女狩りが私に対して開始され,私はアメリカ合衆国全土にわたってタブー的存在になった。・・・私が執筆したものはなんであっても,掲載してくれる新聞や雑誌はまったくなくなってしまい,私は,突然,生計をたてる手段を奪われてしまった。・・・多数のリベラルな考えの教授たちが坑議をしてくれた。しかし彼らは,私は伯爵だから先祖から受け継いだ不動産(地所)をもっていて,裕福に暮らしているにちがいない,と想っていた。ただ一人だけ,実際的なことを何でもやってくれた。それは,バーンズ博士であった。
A typical American witch-hunt was instituted against me,and I became taboo throughout the whole of the United States. ... No newspaper or magazine would publish anything that I wrote, and I was suddenly deprived of all means of earning a living.... Many liberal-minded professors protested, but they all supposed that as I was an earl I must have ancestral estates and be very well off. Only one man did anything practical, and that was Dr. Barnes, ...
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB26-040.HTM
<寸言>
アインシュタイン、ジョン・デューイ他、多くの著名な学者がたちあがってくれました。しかし、ニューヨーク市民の税金で成り立っているニューヨーク市立大学が、不信心で(性道徳などについて)「過激な」思想を抱いている人物(ラッセル)を雇用すべきではないとの世論を反映して、任命は取り消されてしまいました。
この裁判は、ラッセルに対して起こされたものではなく、ラッセルを教授に招聘しようとしたニューヨーク市高等局を相手取って起こされたものでした。従って、ラッセルは裁判所で弁明することもできず、任命取消が決まってしまいました。
一度「過激思想の持ち主」「不道徳な人間」といったレッテルがはられてしまえば、「風評被害」でどこも雇おうとしないのは、今と同じです。
ラッセルは妻子を抱え、異国の地アメリカで経済的窮地の立たされますが、「捨てる神あれば拾う神あり」で、バーンズ博士(バーンズ美術館で有名)から救いの手がさしだされました。
しかし、バーンズ博士も「悪魔」と言われていた人で・・・(続く)。
、 ラッセル関係電子書籍一覧
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell