バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

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 親であるということが,金を稼ぐということを不可避なものとした。・・・。1922年に中国に関する著書を,1923年に『産業文明の前途』を出したが,どちらもたいしてお金にならなかった。それよりもよく売れたのは,1923年の『原子のABC』と1925年の『相対性理論のABC』という2冊の小著,それから,1924年の『イカルス,即ち科学の将来』と1925年の『私の信条』という2冊の小著であった。1924年には,アメリカヘの講演旅行でかなりの収入があった。しかし,1926年に教育に関する本を出すまでは,どちらかというと貧乏(な状態)が続いた。その後1932年までは,特に1929年の『結婚と道徳』と1930年の『幸福論』がよく売れたため,経済的に豊かであった。この数年の間の著作のほとんどは一般向きのものであり,またそれはお金を稼ぐために執筆したものであったが、より専門的な著作も何冊か執筆した。

Parenthood had made it imperative to earn money. ...In 1922 I published a book on China, and in 1923 (with my wife Dora) a book on The Prospects of Industrial Civilization, but neither of these brought much money. I did better with two small books, The A.B.C. of Atoms (1923) and The ABC of Relativity (1925), and with two other small books, Icarus or The Future of Science (1924) and What I Believe (1925 ) . In 1924 I earned a good deal by a lecture tour in America. But I remained rather poor until the book on education in 1926. After that, until 1933, I prospered financially, especially with Marriage and Morals (1929) and The Conquest of Happiness (1930) . Most of my work during these years was popular, and was done in order to make money, but I did also some more technical work.
 Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2
 More info.: https://russell-j.com/beginner/AB24-020.HTM

<寸言>
 ここで紹介されている本は全て日本語に訳されています。
 『産業文明の前途』『原子のABC』『イカルス,即ち科学の将来』の3冊は、いずれも邦訳が大正から昭和の初期にだされており、アマゾン等でも入手できないので、書誌事項を、以下ご紹介しておきます。

 『産業文明の前途』(原著:The Prospects of Industrial Civilization, in collaboration with Dora Russell. London; Allen & Unwin, 1923. 283 pp. 19 cm.) 塚越菊治(訳)『産業文明の前途』(早稲田大学出版部,1928年4月 9+5+421p. 19cm.)
 『原子のABC』(原著:The ABC of Atoms, London; Kegan Paul, 1923. 175 p. 20 cm.) 寮佐吉(訳)『原子のABC』(新光社,1925年9月 3+6+205p. 19cm.=四六判)
 『イカルス,即ち科学の将来』(原著:Icarus; or, The Future of Science, London; Kegan Paul, 1924. 64 p. 16 cm) 桐生政次(訳)『科学の未来と文明破壊の脅威』(聖山閣,1926年12月 129p. 19cm. 未来叢書・第4篇

 『原子のABC』については Zerox コピー(金沢大学図書館所蔵本)しかもっていませんが、落丁・乱丁本でしたので一部欠けています。訳者の寮佐吉氏(当時の科学ライター)は、作家の寮美千子さんの祖父です。以前、アマゾンで1万円ででていましたが、高すぎると思い躊躇しているうちに消えてなくなってしまいました。以前 mixi 上で寮美千子さんとこの件(など)で何度かやりとりしましたが、「(価値からいって高くはないので)買うべきだった!」と言われてしまいました(今は mixi を利用していません)。
 なお、詩人の宮澤賢治は科学に造形が深いことで知られていますが、『原子のABC』も宮沢賢治の蔵書に入っていたそうです。宮沢賢治は多分、ラッセルの ABC of Relativity も英文で読んでいただろうと思われます。

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