バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

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 私達が会った中で本当に好ましく思った日本人は,唯一ミス・イトウ(注:伊藤野枝、1895-1923)だけであった。・・・関東大震災の時,彼女がその無政府主義者(大杉栄)と同棲している家に,その憲兵(甘粕大尉)がやって来た。そこに,彼と彼女と(甘粕大尉が2人の子供だと思った)小さな甥の3人がいるのを発見し,彼ら(憲兵隊)は3人に指名手配されていると言った。憲兵本部に3人は連れていかれ,別々の部屋に入れられ,その憲兵(甘粕大尉)によって絞め殺された。手を下した当人(甘粕大尉)は,子供は,連行の途中うまく手なずけたので,始末するのに大した面倒はなかったと自慢した。この憲兵(甘粕大尉)はたちまち国家的英雄に祭り上げられ,学校の児童達は彼らを讃える作文を書かされた。

We met only one Japanese whom we really liked, a Miss Ito....At the time of the earthquake, the police came to the house where she lived with the anarchist, and found him and her and a little nephew whom they believed to be the son, and informed them that they were wanted at the police station. When they arrived at the police station, the three were put in separate rooms and strangled by the police, who boasted that they had not had much trouble with the child, as they had managed to make friends with him on the way to the police station. The police in question became national heroes, and school children were set to write essays in their praise.
 Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2
 More info.:https://russell-j.com/beginner/AB23-140.HTM

<寸言>
 陸軍憲兵隊の甘粕 正彦(あまかす まさひこ、1891- 1945年)大尉は、陸軍幼年学校、陸軍士官学校卒の根っからの?軍人で、上官の東条英機の勧めで憲兵になったそうです。
 甘粕大尉は関東大震災の混乱時(1923年9月1日)に、アナーキストの大杉栄、伊藤野枝及び彼女の甥の3名を絞め殺した甘粕事件で有名です。甘粕は軍事法廷で単独犯だと主張し、禁錮10年の判決(→恩赦減刑で2年10ヶ月)を受けています。しかし、「愛国心」でやったことだからという理由でしょうか、1926年には出獄し、1927年には、なんと陸軍から派遣されてフランスに留学しています!!(注:手を下したのは甘粕だとしても、実際は陸軍の組織的犯行だとの説もあります。)
 フランスから帰ってから満州に渡り、出世を重ね、岸信介(当時、総務庁次長/安倍元総理のおじいちゃんですね)らのおかげで、1939年に満洲映画協会の理事長になっています。甘粕は、毀誉褒貶がはげしく、評価する人もかなりいますが、「愛国心」から罪のない人たちを虐殺した事実は消えません。
 なお、終戦直後、服毒自殺しています。

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