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全ての大学教師は自ら研究に従事すべきであり,自分の専門科目についてあらゆる国でどんなことがなされつつあるかを知るための十分な余暇と精力を持っていなければならない。大学の授業(教授)において教育技術はもはや重要ではない。重要なのは自分の専門科目についての知識と,この分野で現在行なわれていることを知ろうとする熱意である。こういうことは労働過重で教えることで神経をすりへらしている教師には不可能である。彼の専門科目は彼にとって不愉快なものになりがちであり,彼の知識はほぼ確実に彼が若い時に学んだことに限られるようになる。大学教師は皆サバティカル休暇(七年に一度の研究休暇)を与えられ,外国の大学へ行ったり,他の方法によって海外で行なわれている研究に関する知識を得るためにこの期間を過ごしたりしなければならない。これはアメリカでは普通に行なわれているが,ヨーロッパの国々は知的なプライドが過剰でありその必要性を認めようとしない。
Every university teacher should be himself engaged in research, and should have sufficient leisure and energy to know what is being done in his subject in all countries. In university teaching, skill in pedagogy is no longer important ; what is important is knowledge of one's subject and keenness about what is being done in it. This is impossible for a man who is overworked and nervously exhausted by teaching. His subject is likely to become distasteful to him, and his knowledge is almost sure to be confined to what he learnt in youth. Every university teacher ought to have a sabbatical year (one in every seven) to be spent in foreign universities or in otherwise acquiring knowledge of what is being done abroad. This is common in America, but European countries have too much intellectual pride to admit that it is necessary.
Source: On Education, especially in early childhood, 1926, by Bertrand Russell
More info.:https://russell-j.com/beginner/OE18-070.HTM
<寸言>
随分前から(小泉政権から?)大学教員の任期制の導入が進んでおり、安定した研究職につくことがますます困難になってきています。大学における雑務や(担当する)講義の準備に費やす時間が過多になれば研究に費やす時間が大幅に減り、論文発表も減っていかざるをえません。その結果、いろいろな研究分野で、日本の国際競争力が低下しており、頻繁にそのことが報道されるようになっています。
日本政府もようやく重い腰をあげ、対策に乗り出そうとしています。しかし、学術会議の会員は公務員なんだから政府に批判的な学者は任命しない(排除する)のは当たり前だと言ってはばからない政府では、あまり期待できないかも知れません。
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