ラッセル関係電子書籍一覧 |
『プリンキピア・マテマティカ』を書いている間は,(利益がでない純粋にアカデミックな意義のある仕事をしている間は)(父の)遺産で生計をたてることは正当化されると思っていたが,さらに祖母が遺してくれた資産も自分のものにすることは正しくないと感じた。そこでその金額に相当するお金は全て寄付することとし,一部はケンブリッジ大学(本部)へ,一部は(ケンブリッジ大学の)ニューナム・コレッジヘ,残りは種々の教育目的のために寄付した。そうして社債をT.S.エリオット(「荒地」により、1948年度ノーベル文学賞受賞)にあげ手放して以後,私の手許に残った不労所得は,年約百ポンドだけになった。それだけは私の婚姻継承的不動産処分(marriage settlement)のためのものであったのでなくすることができなかった。
While I was writing Principia Mathematica I felt justified in living on inherited money, though I did not feel justified in keeping an additional sum of capital that I inherited from my grandmother. I gave away this sum in its entirety, some to the University of Cambridge, some to Newnham College, and the rest to various educational objects. After parting with the debentures that I gave to Eliot, I was left with only about £100 a year of unearned money, which I could not get rid of as it was in my marriage settlement.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2
More info.:https://russell-j.com/beginner/AB22-010.HTM
<寸言>
(英国における)婚姻継承的不動産処分(marriage settlement)というのは、不動産譲渡の性質をもった継承的不動産処分。婚姻することを条件として婚姻の前に婚姻当事者の双方または一方,あるいは両親や親族が設定するもの(『研究社新英和大事典』)とのことです。
詳しく知りたい方は(そんな人います?)、「イギリス不動産法の単純化と土地移転の簡易化」をお読みください。
https://core.ac.uk/download/pdf/144438404.pdf
ラッセル関係電子書籍一覧
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell