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今日最も重要な形の競争は,国家間の競争,特に大国と呼ばれている国家間の競争である。これは権力や富や人間の信条に対する支配を求めての全体主義的な競争になってきているが,とりわけ -(敵国の人間に)死刑を課すことは勝利に至るための主要な手段となっているので- 生命それ自体を求める競争となっている(注:本書の出版は1938年)。この競争を終わらせる唯一の方法は,国家主権と国家の武力を廃止し、その代りに,武力を独占する単一の国際政府を置くことであることは,明らかである。これに対する代替案は,文明国の国民の大多数の死滅,生き残った者たちを欠乏と半ば未開の状態に帰することである。目下のところ,大多数の人々がこの代替案の方を好んでいるようである。
The most important form of competition, at the present day, is between States, especially those that are called Great Powers. This has become a totalitarian competition, for power, for wealth, for control over men's beliefs, but above all for life itself, since the infliction of the death penalty is the principal means to victory. It is obvious that the only way of ending this competition is the abolition of national sovereignty and national armed forces, and the substitution of a single international governmentt with a monopoly of armed force. The alternative to this measure is the death of a large percentage of the population of civilized countries, and the reduction of the remainder to destitution and semi-barbarism. At present, a vast majority prefer this alternative.
Source: Power, a new social analysis, 1938, by Bertrand Russell
More info.:https://russell-j.com/beginner/POWER14_070.HTM
<寸言> 「(敵国の人間に)死刑を課すことは勝利に至るための主要な手段」という表現は、本書( Power, a new social analysis)が第二次世界大戦勃発前夜の1938年に出版されていることを考慮に入れる必要があります。しかし、それ以外は今でも状況は変わっていません。
世界政府の創設などを言うと、「現実を見ていない」と馬鹿にする人がいますが、そういった人こそ「現実を見ていない」ということも可能です。それに、国連における五大国の拒否権なんかは時代遅れと言わざるをえません。
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