我々が推論なしに知覚するものの全ては我々の私的世界に属する(ということである)。この点に関しては、私はバークリ(の説に)に賛成する。(バークリーも言うように)視覚において我々知るところの星空は、我々の内部(注:脳内)にある。我々がその存在を信ずるところの外部の星空は推論された(推論によって得られる)ものである。
The whole of what we perceive without inference belongs to our private world. In this respect, I agree with Berkeley. The starry heaven that we know in visual sensation is inside us. The external starry heaven that we believe in is inferred.
Source: My Philosophical Development, chap. 2,1959.
More info.: https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_02-120.HTM
<寸言>
アラン・ウッドはその著書『情熱の懐疑家-バートランド・ラッセル』で、ホワイトヘッドがウッド「ラッセルはかれ自身がひとつのプラトン的対話である」と語ったと書いている。ラッセルは著書の中で自分と対話しながら推論をすすめている(自分の考えをよりよいものにしている)のであり、いずれの発言も自分の意見の最終形を語っているのではないことに注意をする必要がある。