量子力学において新しいことは,統計的諸法則の出現(自体)ではなく,-個々の出来事を支配する諸法則から導きだされる代わりに- 統計的諸法則は究極的なものであるという示唆である。これは非常に難しい概念であり,量子力学の支持者たちが理解している以上に難しい概念である,と私は考える。・・・ もしその単一の原子が無法則(法則に従わない)とするならば,大きな数(の原子)に関してはどうしてそのような規則性が存在しなければならないのだろうか?
What is new in quantum mechanics is not the occurrence of statistical laws, but the suggestion that they are ultimate, instead of being derived from laws governing individual occurrences. This is a very difficult conception - more difficult, I think, than its supporters realize. ... if the single atom is lawless, why should there be this regularity as regards large numbers?
Source: Religion and Science, 1935, chapt. 6:
More info.: https://russell-j.com/beginner/RS1935_06-110.HTM
<寸言>
ミクロの世界(例:原子)とマクロの世界(例:宇宙)はとてもかけ離れていても構造的なものはなぜか非常に似ている(宇宙の構造と一つの原子の構造の類似性)。しかし、それがなぜなのかはわからない。 マクロの世界に目を転じると、男女の出生率は、男のほうが生まれた後の死亡率が高いため、21対20であると言われている。しかし、たとえば、ある男女が結婚して子供が生まれる場合、第一子が男であるか女であるかはわからない(確率は半々あるいは21対20とも言えるが・・・)。事前確率はほぼ50%である。しかし、第一子が生まれた後、第二子が違う性である確率は1回1回は半々であるはずなのに、違う性である確率が高まる。それはなぜなのか?