バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

『バートランド・ラッセル-反核の論理学者』(学芸みらい社刊)p.215に引用されているラッセルの言葉です。(n.41)

「ウィルソン米国大統領への公開書簡 (3)」
  私にいかなる権利があってあなたに呼びかけるのかと,問う人がいるかもしれません。私は(訴える権利を有する)いかなる公式の肩書きもありません。私は政府機関のいかなる一員(当事者)でもありません。私は,話さなければならないという理由だけから話しかけています。文明と同胞愛を思い起こさなければならないはずの(他の)人々が,民族感情によって自らが押し流されてしまっているのを許しているからです。彼らが変節したために,私は,理性と慈悲の名において,話さざる得ないからです。ヨーロッパが人類のためになしとげた仕事,そしてなおもなすべき仕事を忘れないでいる人間が,ヨーロッパに一人もいないなどと思われたくないからです。

Some may ask by what right I address you. I have no formal title; I am not any part of the machinery of government. I speak only because I must ; because others, who should have remembered civilisation and human brotherhood, have allowed themselves to be swept away by national passion; because I am compelled by their apostasy to speak in the name of reason and mercy, lest it should be thought that no one in Europe remembers the work which Europe has done and ought still to do for mankind.
 Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2(1968)p.
 More info.: https://russell-j.com/beginner/AB21-220.HTM

<寸言>
 発言する権利は誰にでもあるはずだが、権力を持たない人間は、通常、自分が何か言っても影響を与えることはできないと、自国の指導者に対して意見を言うことなく、黙ってしまう。ラッセルは12歳の誕生日に,扉に,"汝,群衆の為す悪に従うことなかれ(Thou shalt not follow a multitude to do evil)" と書かれた聖書を祖母からもらっており、生涯を通じてその教えを実践した。