* Thomas Woodrow Wilson, 1856-1924/第28代アメリカ合衆国大統領,在任期間:1913年3月4日-1921年3月4日/進歩主義的国内改革を実行。第一次世界大戦中は中立の立場に立ったが,1917年4月6日にドイツへ宣戦布告。1918年1月8日,第一次世界大戦終結のために,連邦議会で『十四か条の平和原則』を発表。その中で彼は国際平和機構の設立を提唱し,「国際連盟」として実現したが,アメリカ自身は議会の反対で加盟できなかった。
第一章 第一次世界大戦)(承前)
enlarge(拡大する!)
* 写真(Lady Constance Malleson)出典:The Life of B. Russell in Pictures and in His Own Words, comp. by C. Farley and D. Hodgson, 1972.
|
私がキャサリーン・マンスフィールド(Katherine Mansfield ,1888-1923)の言うことに耳を傾けていた頃は,危険な過渡期であった。第一次大戦は,私を完全な冷笑主義の淵(極限)まで追いやり(第一次大戦は,私をすべてに対し冷笑的にさせ),少しでもやる価値のあるものが何かあるということを信じることに非常に困難を感じた(ほとんど全てに対し,やる価値を感じることができなかった)。私は,時々発作的な(ひどい)絶望状態に陥り, --たまに(旧約聖書の)伝道の書を読む以外-- 何も仕事をせずに,まったく無為に,ただ椅子に腰かけて,何日も続けて過ごすような状態であった。しかし,こうした時期の終わりに春(1917年春)がやってきて,そうして,コレット(= Lady Constance Malleson/右写真)との関係で私を悩ませた疑いや躊躇から,自分が解放されているのを発見した。けれども,その冬の絶望の頂点の時(1916年12月頃)に,自分のやるべき事を1つ発見した。それも,それ以外の全てと同様,無益なものだということが後でわかったが,しかし,その時は,無価値ではないと私には思えた。その頃はまだアメリカは,中立を保っていたが,私はウィルソン米国大統領(Thomas Woodrow Wilson, 1856-1924)に公開書簡を送って,世界を救ってほしいと訴えた(注:Open letter to President Wilson. In: Survey, v.37: Dec. 30, 1916, p.372-373/公開書簡が雑誌に載ったのは'1916年冬の12月末'である。/日高氏は,「こうした時期も終わって,私に春がよみがえった」「荒涼たる冬とも言うべき絶望の果てに・・・」と訳されている。'春'や'冬'は象徴ではなく,季節の'1917年の春'や'1916年12月の冬'であると思われる。)。その書簡に,私は以下のように書いた。
「大統領閣下!
あなたは,偉大だったエイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln, 1809年2月12日- 1865年4月15日))がしたことさえもしのぐ,人類に対する顕著な奉仕を行う機会を今お持ちです。'真の平和'によって戦争を終わらせることが,あなたの力によって可能です。'真の平和'は,近い将来における新たな戦争の恐れを減ずるためになされることが可能であろうすべてを恐らくもたらすでしょう。ヨーロッパ文明を破滅から救い出すのに,現在ならまだ遅すぎるということはありません。しかし,わが国(英国)の軍国主義者たちが(戦争は長引くと)脅かしているように,もしこの大戦がさらに2,3年続けられるようなことになれば,とりかえしがつかなくなるでしょう。(注:結果として,戦争はその後2年以上続いた)
軍事情勢は,現在,考える能力のある者なら誰でも,だいたいにおいて,その最終的な結果(ultimate issue)がはっきりとわかるところまで展開しています。いずれの側にも勝利はあり得ないということは,あらゆる交戦国の政府当局にとって明らかであるにちがいありません。ヨーロッパ大陸ではドイツが有利です。しかしヨーロッパ大陸以外と海上では連合国が有利です。いずれの側も,相手に余儀なく平和を請わせるほどの'圧倒的勝利'を得ることは不可能です。戦争というものは,多くの国々(国民)に'筆舌に尽しがたい'損害を与えますが,戦闘の継続を不可能にするまでにはいたりません。いかに戦争を長びかせようとも,交渉は結局は実質的には現在の損得のバランスの基礎の上に行われ(始まり),また,現時点で得られそうな条件とあまり違わない条件で終結するだろうことは,明らかです。ドイツ政府はこのことを認識し,少なくとも議論の土台を与えるとみなさなければならない条件での和平への意志を表明しました。なぜそう考えないといけないかというと,ドイツは,連合国の名誉がかかっているいくつかの点で,譲歩しているからです。連合国政府は,もはや,内々では否定できないことがら,即ち,圧勝という望みは,現在ではほとんど享受できないでものであるということを,公に認めるだけの勇気をもちあわせていません。この勇気が欠けているために,連合国政府は,おそらく後2,3年間,ヨーロッパを戦争継続の恐怖の中に巻き込む覚悟をしているのです。こういう状況は,人情のある者なら誰も堪えることはできません。あなたならば,この状況に終止符をうてます。あなたの力ならば,その機会をつくり,その責任を担えます。そうして,あなたのこれまでの行動から見て,あなたならば,政治家たちの間にほとんど見られないほどの知恵と人間性をもって,力を行使するだろうと確信しています。
この戦争において既になされた損害は,計り知れません。何百万の貴い命が失われただけでなく,またそれ以上の人間が不具になるか,健康を損ねただけでなく,文明全体の水準が低下させられました。恐怖が人間の心の内奥にまで侵入し,また,恐怖とともに,恐怖に常に伴っている'残忍性'が現れました。憎悪が人生のルールになり,他人を害することが,自分たちの利益よりも,いっそう望まれています(下のイラストを参考/出典:Bertrand Russell's The Good Citizen's Alphabet, 1953)。われわれが以前そのもとに過ごした平和の下での進歩の希望は死に絶え,もう二度と望めなくなっています。恐怖と野蛮(残酷)が,われわれが呼吸しつつある空気そのものになってしまっています。われわれの祖先が何世紀もの戦いの末に勝ち得た自由も,一日にして犠牲に(生贄に)されました。そしてあらゆる国々が,相互破壊という一つの恐ろしい目的のために,組織化されている(←連帯に編入されている)のです。
しかし,全てこれらのことも,この戦争が,一部の指導的人物による発表がわれわれに予想させているほど,長期に続くとしたら,将来我々を待ち構えている事態と比較すれば,まったくお話にならないでしょう。ストレスが増し,戦争による疲労が,一般の人々を一層いらいらさせるにつれて,抑圧の苛酷さは絶えず増大してゆくにちがいありません。あらゆる交戦国において,負傷した兵士たち,あるいは休暇で帰国している兵士たちは,塹壕に対する極度な嫌悪,軍事的決定を遂行することに対する絶望,及び平和への恐ろしいほどの渇望を表明しています。わが国の軍国主義者たちは,兵士に投票権を与えることに反対し,成功しています。しかもあらゆる国々において,戦争で疲労しているのは敵側の兵士だけだと一般市民に思い込ませようとしています。殺害された若い命の日々の犠牲が,ほとんど耐え難いほどの恐怖となっています。しかし,あらゆるところで,平和を擁護することは兵士たちへの裏切り行為だとして,はげしく非難されます。あらゆる人々のなかで,兵士たちはとりわけ平和を望んでいるのにもかかわらずです。平和の友は,いたるところで,「亡くなった勇者たち」(注:日本では「英霊」)が'無駄に血を流した'ということであってはならない」という'悪魔的な議論'に遭遇します。そうして,現在まだ生きている兵士たちに対する憐れみの衝動のすべてが,われわれの手助けを無視した者たち(?)への誤ったそして'無益な忠誠'により枯らされ,しぼんでしまっています。これまで,軍需品の製造や,港湾労働や,またその他戦争遂行に必須な目的のために雇われてきた人たちでさえも,徐々に徴兵され,その後を婦人によりとって代わられつつあります。そして,背後には黒人労働者の不吉な脅威が存在しています。国民感情の憤激をチェックする措置がまったくとられなければ,かつてローマ帝国が異邦人の前に崩壊したように,ヨーロッパ文明が完全に崩壊してしまう危険が現実に存在します。
戦争遂行のために当局によってなされつつあるすべてを世論が支持しているように見えるというのは,奇妙だと思われるかも知れません。しかし,このように見えること(この現象)によって,非常に多くの人々がだまされます。戦争の継続は,影響力のある人たちや新聞によって,積極的に擁護されます。そして,新聞は,どこでも同じですが,政府の統制下に置かれています。社会の他の階層(部分)の感情は,新聞によって表された感情とはかなり異なっています。(注:Press; Government; Society と全て大文字になっているが,これは一般的なものを言うのではなく,「英国の」という限定が含まれているためか?)それでも世論は沈黙を保ち,無知なまま(事実を知らされないまま)です。なぜなら,指導を与えることのできる人々は,非常に厳しい罰則でしばられているために,あえて公に抵抗しようとする人はほとんどおらず,また,それら少数者は,世間の幅広い注目を浴びることができないからです。私自身のかなりの量の個人的な経験から,また,他者から学ぶことのできるすべてによって補強されて,私は,平和への欲求はほとんど普遍的(ほとんどすべての人々のもの)であると信じています。即ち,単に兵士たちの間だけでなく,賃金労働者全体を通してそうです。特に,工業地帯においては,高い賃金や安定した雇用にもかかわらずそうです。和平交渉を開始すべきか否かという問題について'国民投票'が行われたら,圧倒的多数がそれに賛成すると,私は確信します。それは,フランス,ドイツ,及びオーストリア=ハンガリー帝国においても同様です。
現在存在している,継続的な戦闘行為への黙従は,全く恐怖心のせいです。あらゆる国が,敵こそが侵略者であり,敵を徹底的に打ち負かさなければ,2,3年以内に再び戦争を始めるかもしれない,と信じています。米国政府は,ヨーロッパ諸国の政府に和平をしいるだけでなく,また同時に,自らを平和の保証人とすることによって,諸国民を安心させる力をもっています。そのような行為は,たとえそれが各国政府からは憤慨されようとも,諸国民からは喜ばれ,歓乎の声をもって迎えられるでしょう。もしドイツ政府が --いまそのようになりそうに思われますが-- 戦争で奪い取った領土を返還するだけでなく,『 平和強制連盟』(注:League to Enforce Peace 1915年6月17日,米国において,和平を促進するために設置された組織)か,あるいは戦争なしに紛争を解決する何らかの方法に支持を与えるならば,恐怖心は和らぐでしょう。そして,あなたが調停の申し出をしてくださるならば,和平会議を支持する,誰も抵抗できない運動が起こってくるのは,ほとんど確実です。ところが現在は,第三者(交戦国以外)の強国による調停という方法以外に,近いうちに戦争が終わりそうな見込みはまったくないといった,'行き詰まり状態'にあります。そしてその調停役ができるのはあなただけです。
私にいかなる権利があってあなたに呼びかけるのかと,問う人がいるかもしれません。私は(訴える権利を有する)いかなる公式の肩書きもありません。私は政府機関のいかなる一員(当事者)でもありません。私は,話さなければならないという理由だけから話しかけています。文明と同胞愛を思い起こさなければならないはずの(他の)人々が,民族感情によって自らが押し流されてしまっているのを許しているからです。彼らが変節したために,私は,理性と慈悲の名において,話さざる得ないからです。ヨーロッパが人類のためになしとげた仕事,そしてなおもなすべき仕事を忘れないでいる人間が,ヨーロッパに一人もいないなどと思われたくないからです。ヨーロッパにおいて,またヨーロッパ外において,世界は,思想,科学,芸術,政治の理想,及び将来に対する希望において,その保有しているところのものの大部分を,ヨーロッパの諸民族に負っています。もしそうしたものを,お互い,無益な大虐殺によって破壊しあうことを許すとしたら,外交上の威信よりももっと貴重なものや,勝利者自身をも朽ち果てさせるような不毛の勝利とはとても比較できないほどよりいっそう貴重なものが失われるでしょう。わが国の他の人たちと同様に,私も熱烈に連合国の勝利を望んできました。そして勝利が遅れるのをみて,彼ら同様,私も苦しんできました。しかし,私は常に以下のことを想起します。即ち,ヨーロッパが成し遂げるべき共通の仕事があること,ヨーロッパ諸国間の戦争というものは本質的に'内戦'であること,われわれが敵の悪い点だと考えることは敵側もまたわれわれに対して同じように考えている点であること,そして,戦時において交戦国が事実を正しく見ることは困難であることを。とりわけ,戦争における諸問題のなかで,和平ほど重要な問題は一つもないと思います。我々が希望する全部を認めてくれるようなことのない'和平'によってなされる害は,戦闘の継続によってなされる害と比較すれば,とるに足らないものです。ヨーロッパで権力を持っているすべての者が,それぞれ自分の国の利益(国益)のためであると誤って信じている事を代弁している間は,私は絶大なる確信をもって,ヨーロッパの名において,すべての国民を代弁して発言せざるを得ません。私は,あなたが平和を我々にもたらしてくれるよう,ヨーロッパの名において,あなたに訴えます。
|
The time during which I listened to Katherine was a time of dangerous transition. The War had brought me to the verge of utter cynicism, and I was having the greatest difficulty in believing that anything at all was worth doing. Sometimes I would have fits of such despair as to spend a number of successive days sitting completely idle in my chair with no occupation except to read Ecclesiastes occasionally. But at the end of this time the spring came, and I found myself free of the doubts and hesitations that had troubled me in relation to Colette. At the height of my winter despair, however, I had found one thing to do, which turned out as useless as everything else, but seemed to me at the moment not without value. America being still neutral, I wrote an open letter to President Wilson, appealing to him to save the world. In this letter I said:
Sir,
You have an opportunity of performing a signal service to mankind, surpassing even the service of Abraham Lincoln, great as that was. It is in your power to bring the war to an end by a just peace, which shall do all that could possibly be done to allay the fear of new wars in the near future. It is not yet too late to save European civilisation from destruction; but it may be too late if the war is allowed to continue for the further two or three years with which our militarists threaten us.
The military situation has now developed to the point where the ultimate issue is clear, in its broad outlines, to all who are capable of thought. It must be obvious to the authorities in all the belligerent countries that no victory for either side is possible. In Europe, the Germans have the advantage; outside Europe, and at sea, the Allies have the advantage. Neither side is able to win such a crushing victory as to compel the other to sue for peace. The war inflicts untold injuries upon the nations, but not such injuries as to make a continuance of fighting impossible. It is evident that however the war may be prolonged, negotiations will ultimately have to take place on the basis of what will be substantially the present balance of gains and losses, and will result in terms not very different from those which might be obtained now. The German Government has recognised this fact, and has expressed its willingness for peace on terms which ought to be regarded at least as affording a basis for discussion, since they concede the points which involve the honour of the Allies. The Allied Governments have not had the courage to acknowledge publicly what they cannot deny in private, that the hope of a sweeping victory is one which can now scarcely be entertained. For want of this courage, they are prepared to involve Europe in the horrors of a continuance of the war, possibly for another two or three years. This situation is intolerable to every humane man. You, Sir, can put an end to it. Your power constitutes an opportunity and a responsibility; and from your previous actions I feel confident that you will use your power with a degree of wisdom and humanity rarely to be found among statesmen.
The harm which has already been done in this war is immeasurable. Not only have millions of valuable lives been lost, not only have an even greater number of men been maimed or shattered in health, but the whole standard of civilisation has been lowered. Fear has invaded men's inmost being, and with fear has come the ferocity that always attends it. Hatred has become the rule of life, and injury to others is more desired than benefit to ourselves. The hopes of peaceful progress in which our earlier years were passed are dead, and can never be revived. Terror and savagery have become the very air we breathe. The liberties which our ancestors won by centuries of struggle were sacrificed in a day, and all the nations are regimented to the one ghastly end of mutual destruction.
But all this is as nothing in comparison with what the future has in store for us if the war continues as long as the announcements of some of our leading men would make us expect. As the stress increases, and weariness of the war makes average men more restive, the severity of repression has to be continually augmented. In all the belligerent countries, soldiers who are wounded or home on leave express an utter loathing of the trenches, a despair of ever achieving a military decision, and a terrible longing for peace. Our militarists have successfully opposed the granting of votes to soldiers; yet in all the countries an attempt is made to persuade the civilian population that war-weariness is confined to the enemy soldiers. The daily toll of young lives destroyed becomes a horror almost too terrible to be borne; yet everywhere, advocacy of peace is rebuked as treachery to the soldiers, though the soldiers above all men desire peace. Everywhere, friends of peace are met with the diabolical argument that the brave men who have died must not have shed their blood in vain. And so every impulse of mercy towards the soldiers who are still living is dried up and withered by a false and barren loyalty to those who are past our help. Even the men hitherto retained for making munitions, for dock labour, and for other purposes essential to the prosecution of the war, are gradually being drafted into the armies and replaced by women, with the sinister threat of coloured labour in the background. There is a very real danger that, if nothing is done to check the fury of national passion, European civilisation as we have known it will perish as completely as it perished when Rome fell before the Barbarians.
It may be thought strange that public opinion should appear to support all that is being done by the authorities for the prosecution of the war. But this appearance is very largely deceptive. The continuance of the war is actively advocated by influential persons, and by the Press, which is everywhere under the control of the Government. In other sections of Society feeling is quite different from that expressed by the newspapers, but public opinion remains silent and uninformed, since those who might give guidance are subject to such severe penalties that few dare to protest openly, and those few cannot obtain a wide publicity. From considerable personal experience, reinforced by all that I can learn from others, I believe that the desire for peace is almost universal, not only among the soldiers, but throughout the wage-earning classes, and especially in industrial districts, in spite of high wages and steady employment. If a plebiscite of the nation were taken on the question whether negotiations should be initiated, I am confident that an overwhelming majority would be in favour of this course, and that the same is true of France, Germany, and Austria-Hungary.
Such acquiescence as there is in continued hostilities is due entirely to fear. Every nation believes that its enemies were the aggressors, and may make war again in a few years unless they are utterly defeatd. The United States Government has the power, not only to compel the European Governments to make peace, but also to reassure the populations by making itself the guarantor of the peace. Such action, even if it were resented by the Governments, would be hailed with joy by the populations. If the German Government, as now seems likely, would not only restore conquered territory, but also give its adherence to the League to Enforce Peace or some similar method of settling disputes without war, fear would be allayed, and it is almost certain that an offer of mediation from you would give rise to an irresistible movement in favour of negotiations. But the deadlock is such that no near end to the war is likely except through the mediation of an outside Power, and such mediation can only come from you.
Some may ask by what right I address you. I have no formal title; I am not any part of the machinery of government. I speak only because I must ; because others, who should have remembered civilisation and human brotherhood, have allowed themselves to be swept away by national passion; because I am compelled by their apostasy to speak in the name of reason and mercy, lest it should be thought that no one in Europe remembers the work which Europe has done and ought still to do for mankind. It is to the European races, in Europe and out of it, that the world owes most of what it possesses in thought, in science, in art, in ideals of government, in hope for the future. If they are allowed to destroy each other in futile carnage, something will be lost which is more precious than diplomatic prestige, incomparably more valuable than a sterile victory which leaves the victors themselves perishing. Like the rest of my countrymen I have desired ardently the victory of the Aliies; Like them, I have suffered when victory has been delayed. But I remember always that Europe has common tasks to fulfil; that a war among European nations is in essence a civil war; that the ill which we think of our enemies they equally think of us; and that it is difficult in time of war for a belligerent to see facts truly. Above all, I see that none of the issues in the war are as important as peace; the harm done by a peace which does not concede all that we desire is as nothing in comparison to the harm done by the continuance of the fighting. While all who have power in Europe speak for what they falsely believe to be the interests of their separate nations, I am compelled by a profound conviction to speak for all the nations in the name of Europe. In the
name of Europe I appeal to you to bring us peace.
|