『バートランド・ラッセル-反核の論理学者』(学芸みらい社刊)p.110で引用されているラッセルの言葉です。(n.23)
「メリット勲章(授与)で始まり,ノーベル賞(受賞)で終わった1950年という年は,私の社会的地位が最高点を記録した年(社会的に最も尊敬された年)であったように思われる(注:メリット勲章を授与されたのは1949年6月/ここではメリット勲章授与の余波が1950年も続いたことを言っている。)。このことが,一般社会の考え方や慣行に盲目的に従うようになる始まり(正統主義の始まり)を意味することになるのではないかという恐れから,少し不安を感じはじめたことは事実である。私は,いつも,曲がったことをしないで社会的に尊敬される人間になることはできないという考えを抱いてきた。しかし,私の道徳感があまりにも鈍感なために,自分がどのような過ちを犯したのかわからなかった。」
1950, beginning with the OM and ending with the Nobel Prize, seems to have marked the apogee of my respectability. It is true that I began to feel slightly uneasy, fearing that this might mean the onset of blind orthodoxy. I have always held that no one can be respectable without being wicked, but so blunted was my moral sense that I could not see in what way I had sinned.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3.
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB31-240.HTM
<寸言>
国家的栄誉に浴した人はその後は伝記に不名誉なことを書かれないように努める人が多いという「伝説?」が流布しています。