『バートランド・ラッセル-反核の論理学者』(学芸みらい社刊)p.68で引用されているラッセルの言葉です(出典:『ラッセル自伝』第2巻第1章)。(n.16)
情熱のみが情熱を統御できるのであり,逆方向の衝動あるいは欲望のみが,衝動を抑制しうるのである。伝統的なモラリストたちが説いた形での理性は,良き生活をつくり出すにはあまりに消極的であり,またあまりにも生気を欠いている。戦争を阻止しうるのは,理性のみによるものではなく,戦争をもたらす衝動や情熱に反発する(ところの)積極的な衝動と情熱のある生活によってである。変える必要があるのは,意識的な思考の生活だけでなく,衝動の生活である。
Only passion can control passion, and only a contrary impulse or desire can check impulse. Reason, as it is preached by traditional moralists, is too of negative, too little living, to make a good life. It is not by reason alone that wars can be prevented, but by a positive life of impulses and passions antagonistic to those that lead to war. It is the life of impulse that needs to be changed, not only the life of conscious thought.
Source: Principles of Social Reconstrucition, 1916
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<寸言> 衝動をコントロールすることは重要であるが、それだけでは不十分である。偏狭な愛国心や憎悪に流されないような、戦争をもたらす衝動や情熱に反抗する衝動が湧いてくるような、人間性を養う必要がある。