個人が幾分従属的になることは,社会の組織化の増大による避けられない結果である。しかし,戦争の危険が除去されるならば,地方的な問題も,再び前面に現れてくるであろうし,人々の政治的関心は,現在以上に,彼ら(一般選挙民)が知識と影響を与えられる声(発言権)とをあわせて持った問題に一層関連したものになるであろう。というのは,戦争の恐れ(戦争に対する恐怖心)が,何よりも,人々の注意を,遠隔の国々や自国政府の対外活動に,強いるからである。
Some subjection of the individual is an inevitable consequence of increasing social organization. But if the danger of war were eliminated, local questions would again come to the fore, and men's political interests would be much more concerned than at present with questions as to which they could have both knowledge and an effective voice. For it is the fear of war, more than anything else, which compels men to direct their attention to distant countries and to the external activities of their own government.
情報源: Power, 1938.
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER18_090.HTM
<寸言>
内政(国政)の失敗・失策から国民の目をそらすには、外国(特に近隣諸国)の軍事的、経済的、文化的脅威を煽るのが一番効果的である。 いずれの国の権力者はそのことはご存知である。 次に効果的なのは、いろいろな事業(オリンピック、万博、日本改造事業、その他)で、「未来に目を向けよう!」と言って、国民の目をそらすことである。