アメリカ合衆国においては,憲法が制定されて以降,連邦政府は,諸州の犠牲によって力を増してきた。同様の傾向は,1872年から1918年に至るまでのドイツにも存在した。(一つの)世界連邦政府でさえ - 内乱の可能性はそこそこあるので(as might well happen)- もし(世界)連邦からの分離離脱の問題で内乱に巻き込まれていることに気がつくなら、連邦政府が勝利する場合には,多くの国民政府に対して,測り知れないほど強化される(強化する)であろう。このように,一つの方法としての連邦の効能は,非常に明確な限界を有している。しかしこの限界の枠内において,連邦(方式)は望ましくかつ重要である。
In the United States, the federal government has gained at the expense of the States ever since the Constitution was first enacted. The same tendency existed in Germany from 1871 to 1918. Even a federal government of the world, if it found itself involved in a civil war on the question of secession, as might well happen, would, if victorious, be immeasurably strengthened as against the various national governments. Thus the efficacy of federation, as a method, has very definite limits ; but within these limits it is desirable and important.
情報源: Power, 1938.
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER18_080.HTM
<寸言>
英国のEUからの離脱問題(いわゆる BREXIT)、トランプ大統領の「America Fists」、 米中の貿易戦争、各国首脳や政府の「国益第一主義」など、現在世界は混乱状態にある。 共存による平和及び繁栄の実現をめざした欧州共同体は今や危機的状態にあり、米中は一種の「戦争状態」にある。 そのきっかけを作ったのがトランプであり、各国内及び国同士の経済格差などの各種格差の進行であった(と思われる)。 世界は格差是正の方向に進むのか、あるいは強いものが勝つの論理で格差がいっそう進んでいくのか?