バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 「孔子が泰山の側(そば)を通りかかった時,墓前ではげしく泣いている婦人に出会った。孔子は載っている車(馬車?)を推し進め,彼女の近くにすばやく近づいた。そうして子路(注:孔門十哲の一人)に婦人が泣いている理由を尋ねさせた。彼は聞いた。「あなたの嘆きをお聞きすると,度重なるご不幸がおありのようですね」 彼女は応えた。「舅,夫,子供が虎に襲われて死んでしまいました。」 孔子が「なぜ(虎に襲われる危険な土地を)去らないのか」と尋ねたところ,婦人は「ここには圧政を行う政府がありません(よその土地に移って,ひどい政治に苦しむよりはましです)」と答えた。 孔子は言った。「このことを覚えておきなさい。圧政的な政府は虎よりももっと恐ろしいということを」

"In passing by the side of Mount Thai, Confucius came on a woman who was weeping bitterly by a grave. The Master pressed forward and drove quickly to her; then he sent Tze-lu to question her. 'Your wailing,' said he, 'is that of one who has suffered sorrow on sorrow.' She replied, 'that is so. Once my husband's father was killed here by a tiger. My husband was also killed, and now my son has died in the same way'. The Master said, 'why do you not leave the place?' The answer was, 'there is no oppressive government here.' The Master then said, 'Remember this, my children : oppressive government is more terrible than tigers."
 情報源: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER18_010.HTM

 <寸言>
 今でも弱者やマイノリティは同じ運命にある。生活保護を受けられるではないかと言うかも知れないが、生活保護を受けなければ生きていけないような社会のあり方のほうが問題であり、その生活保護もできるだけ受給させないような手続きの煩雑さや無言の圧力が行われている。昔は少しの土地があれば食べていくことだけはできたが、現在では弱者は土地をもてず、日雇いや非正規労働者として搾取される。