反乱(謀反)がなければ,人類は停滞し,不正は治療できないであろう。従って,権威(権力)に従うことを拒否する人は,一定の状況下においては,正当な機能を有しているが、その場合,その人の不服従には,個人的な動機よりもむしろ社会的な動機がなければならない。しかし,この問題は,その本来の性質から言って,規則を定めることの不可能な問題である。
Without rebellion, mankind would stagnate, and injustice would be irremediable. The man who refuses to obey authority has, therefore, in certain circumstances, a legitimate function, provided his disobedience has motives which are social rather than personal. But the matter is one as to which by its very nature, it is impossible to lay down rules.
情報源: Power, 1938.
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER15_290.HTM
<寸言>
その権力が不当であるかどうかは、支配を受ける者しかわからない。権力に対抗し、新しい権力者にのしあがった者は「反権力」の重要性を忘れる。自分の「反権力」は正しいと思うが、いったん自分が権力者になると(自分たちに逆らう)「反権力」は社会をみだすものだとして、取りしまる。
たとえていえば、安倍政権は「改憲」をさけび、憲法に違反するようなことを自分でやっておきながら、現行憲法は「実情にあわなくなってきているために改正が必要だ」と主張する。しかし、万一、改憲に成功すれば、今度は「憲法を守れ」ということで、「改正憲法」に抗議する者に対してはいろいろな不利益を与えるだろうことが予想される。