バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 現代の技術は -メッセージの伝達の迅速性を通してだけでなく,鉄道や電信や自動車輸送や政府の宣伝なども通して- 昔よりもずっと大規模な帝国に安定を与えることを可能にしてきている。(これに対し)古代ペルシャ帝国の地方総督や古代ローマ帝国の地方総督は容易に反乱を起こせる自立性を十分持っていた。アレクサンダー大王の帝国も大王の死と共に瓦解した。アッテイラやジンギス汗の帝国もつかのまのものであった。ヨーロッパの諸国家も新世界における所有物(アメリカ大陸その他)の大部分を失った。しかし,現代の技術を備えた大部分の帝国は,外部からの攻撃を受けたとき以外はかなり安全であり,革命は,敗戦後に予想されるだけである。

Modern technique, not only through the rapidity in the transmission of messages, but also through railways, telegraph, motor traffic, and governmental propaganda, has made large empires much more capable of stability than they were in former times. Persian satraps and Roman proconsuls had enough independence to make rebellion easy. Alexander's empire fell apart at his death. The empires of Attila and Jenghis Khan were transitory; and the nations of Europe lost most of their possessions in the New World. But with modern technique most empires are fairly safe except against external attack, and revolution is only to be expected after defeat in war.
 情報源: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER11_120.HTM

 <寸言>
 先進国においてはテロ活動は起こるにしても、革命を起こそうとして成功することはほとんど考えられない。  現代においては、昔と異なり、大部分の人間に関する情報は政府がにぎっているか、あるいは知ろうとすれば知ることが可能であり、必要に応じ危険人物を補足することが用意である。  現代の超大国なら、世界中どこへでも数日で軍隊を送ることが「可能」である。超大国が複数あるのでそのような行為をすることはまず考えられないが、逆に言えば、超大国が協力しあえば世界連邦政府も夢ではないということになる。  しかし、小山の大将になりたい権力者は多く・・・。