バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 この(私の)理論(説)が正しいとすれば,精神と脳(物質)との間の一定の結びつき(連鎖)は不可避である。たとえば記憶に対応して,脳にいくらかの物理的修正がなければならないし(注:何かを新しく記憶すれば脳にそれに対応した痕跡が残るはず),精神生活(知的生活)は脳組織の物理的特質(特性)と結びついていなければならない。実際,我々の知識がもっと豊富であったならば,物理学的陳述と心理学的陳述とは同じことの違った言い方にすぎないことがわかるであろう(見て取れるであろう)。精神(心)の脳(物質)への依存,あるいは,脳(物質)の精神への依存についての古くからの諸問題は,このようにして,言語的利便性へと還元される。

If this theory is right, certain kinds of connection between mind and brain are inescapable. Corresponding to memory, for example, there must be some physical modifying of the brain, and mental life must be connected with physical properties of the brain tissue. In fact, if we had more knowledge, the physical and psychological statements would be seen to be merely different ways of saying the same thing. The ancient question of the dependence of mind on brain, or brain on mind, is thus reduced to linguistic convenience.
 出典: Bertrand Russell : Mind and Matter (1950?)
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/19501110_Mind-Matter160.HTM

 <寸言>
 (理論上は)ラッセルが全否定はできないと言っている「死んだ後に残る精神(心)」には何ら神秘的なものはない。なぜなら,精神(こころ)でも物質(もの)でもない中立的なものでこの世界は成り立っているという「中立一元論」の立場にたてば,常識が精神と物質とを別物だとする考えは否定され、精神は物質は視点や見方やまとめ方の違いにすぎなくなるからである。