バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 普通の(常識的な/日常的な)言語を使ってよいならば,今この瞬間において,私は自分の部屋の家具や,風にゆらぐ木々や,家々,雲,青空,それから太陽を見ることができる(と言うことができる)(注:厳密な科学言語で言わなければいけないとしたら,このようには言えない)。(私の/我々の)常識は,これら全ての物は私の外(部)に存在していると想像する。これら全ての物は,私の外部にある物理的対象と因果的に結合している(因果関係にある)と私は信じているが,物理的対象が,重要な点で私が直接的に経験するものと異なっていなければならない(異なっているに違いない)ということを悟るやいなや,また私が物理的対象から出て私の感覚が起る(感覚器官で受け取る)以前に私の脳に達する因果の連鎖(因果関係)を説明するやいなや,物理的因果関係の見地から,私は直接に経験した感覚対象が,私の脳の中にあって(私の)外の世界にないことを知る。

if I allow myself to talk the language of common sense, the furniture of my room, the trees waving in the wind, houses, clouds, blue sky, and sun. All these common sense imagines to be outside me. All these I believe to be causally connected with physical objects which are outside me, but as soon as I realize that the physical objects must differ in important ways from what I directly experience, and as soon as I take account of the causal trains that proceed from the physical object to my brain before my sensations occur, I see that from the point of view of physical causation the immediately experienced objects of sense are in my brain and not in the outer world.
 出典: Bertrand Russell : Mind and Matter (1950?)
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/19501110_Mind-Matter140.HTM

 <寸言>
  我々は日常的には(「常識的には」)自分と外界(世界)とは別だと考えてしまうが、外界は我々(自我)が構成した「構成物」にすぎない。「私」が死ねば「私にとっての世界」は消滅し、「人類」(あるは高等生命)が滅亡すれば「人類にとっての宇宙」も消滅する。
 それでは、「感覚を持つ生命体」がまったく存在しない宇宙とはどんなものであろうか? 今我々が見ているような生命や物質にあふれた宇宙ではなく、量子が充満し、ある場所ではそれらの濃度が濃く、ある場所ではそれらの濃度が薄い、カオス宇宙にすぎないのであろうか?