バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 人事(=人間社会の諸々の事柄)において最も知られる価値があり最も称賛すべきことは社会よりもむしろ個人に関係したものである,と私は考えます。ある集団に含まれる数人の個々人(の生命)を越えた価値をその人間集団(自体)が独立して持っている,とは私は信じません(注:個人にまず価値がなければ,個人の集まりである集団にも価値はない。たとえば,国家があってこその個人ではなく,個人があってこその国家)。歴史(書)が国家や,民族,教会,あるいは他の集団的実体を讃美するために個人の価値を無視することは危険であると考えます。

I think that what is most worthy to be known and admired in human affairs has to do with individuals rather than with communities. I do not believe in the independent value of a collection of human beings over and above the value contained in their several lives, and I think it is dangerous if history neglects individual value in order to glorify a state, a nation, a church, or any other such collective entity.
 出典: History as an art (1954)
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1057_HasA-160.HTM

 <寸言>
 人は英雄崇拝をしたり,その反対の集団(特に国家)を崇拝したりと、極端に走りやすい。大切なのは個人と集団とをバランスをとること。個人に価値がなければ,個人の集まりである集団(国家など)にも価値はない。支配者になったり、権力者になったりすると、自分が属する(自分が支配あるいは権力を持つ)集団を過大に重視しがちであるが、国家(社会全体)あっての個人という思想には少数支配をカモフラージュしようとする心理が隠れている場合がほとんどである。