政治論争に使用される言葉は,辞書にある決まった意味をもっているにもかかわらず,話す人の政治的関係(どの党に加入あるいは連携しているか)によって異なった意味で使われ,激しい感情を呼び起こす力をもっているという点においてのみ一致している。「自由」という語は,もともとは主に外国による支配のないことを意味し,次に王権の制限を意味するようになり,その次に「人権」の時代には,いろいろな点(関係)を指し示すようになり,その中で,各個人は政府による干渉から自由であるべきであると考えられた。そして,ついに,ヘーゲルによって,警察に従うことを寛大にも許諾するということ(注:権力に従う自由)以外の意味はほとんど持たない「真の自由」となるに至った。
All the stock words of political controversy, in spite of having a definite dictionary meaning, have in use meanings which differ according to the political affiliation of the speaker, and agree only in their power of rousing violent emotions. The word "liberty" originally meant chiefly absence of alien domination; then it came to mean restrictions of royal power; then, in the days of the "rights of man," it came to denote various respects in which it was thought that each individual should be free from governmental interference; and then at last, in the hands of Hegel, it came to be "true liberty," which amounted to little more than gracious permission to obey the police.
出典: Bertrand Russell: A Plea for Clear Thinking(1947)
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0868_PfCT-020.HTM
<寸言>
簡単に意味がとれる思われる言葉でも、重要な言葉(単語や表現)については、相手がどのような意味で使っているか理解したり、自分がどのような意味で使っているか理解させることは、非常に重要。