私は,理性と科学との進歩からもっと多くのものが期待できると考えている。人々は,次第に,憎悪と不正に基づいた制度を持つ世界は最も幸福を産み出しそうな世界ではない,ということを認識するようになるであろう。先の戦争(第一次世界大戦)はこの教訓を少数の人々に教えたが,もしも仮にあの戦争が勝負がつかずに(引き分けに)終っていたとしたら,もっと多くの人々にこの教訓を教えたことであろう(注:実際は,勝者に奢りを,敗者に屈辱と憎悪を産んでしまい,第二次世界大戦の原因の一つとなった)。
More is to be hoped, I think, from the progress of reason and science. Gradually men will come to realise that a world whose institutions are based upon hatred and injustice is not the one most likely to produce happiness. The late war taught this lesson to a few, and would have taught it to many more if it had ended in a draw.
出典: Bertrand Russell: The Harm That Good Men Do,1926.
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0393_HGMD-150.HTM
<寸言>
世の中を正義と悪に分け(二分法,悪を徹底的にたたくことにより良い(正しい)世界が実現すると考える愚かさ、傲慢さ。