バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  
 キリスト教の到来によって世界中に広まった不寛容は,キリスト教の最も奇妙な特徴の一つであるが,それは私の考えでは,正義についてのユダヤ人の信仰と,ユダヤの神の排他的な実在に対する信仰(唯一神信仰)によるものである。・・・なるほど,現代のキリスト教徒は以前ほど粗野ではないがそれはキリスト教のおかげではない。ルネッサンスから今日までに至る幾世代に渡る自由思想家達が,因襲的な信仰の多くの事についてキリスト教徒を恥ずかしく思わせてきたからである。現代のキリスト教徒がその穏やかさと合理性の全てがそれぞれの時代において全ての正統派のキリスト教徒によって迫害された人々の教えによるものであるという事実を無視してキリスト教が実際においていかに穏やかかつ合理的なものであるか,と言っているのを聞くことは面白い。

It is true that the modern Christian is less robust, but that is not thanks to Christianity; it is thanks to the generations of freethinkers, who from the Renaissance to the present day, have made Christians ashamed of many of their traditional beliefs. It is amusing to hear the modern Christian telling you how mild and rationalistic Christianity really is and ignoring the fact that all its mildness and rationalism is due to the teaching of men who in their own day were persecuted by all orthodox Christians.
 出典: Bertrand Russell: Has Religion Made Useful Contributions to Civilization? 1930.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0466HRMUC-090.HTM

 <寸言>
 キリスト教徒が迫害された歴史ばかりみるのではなく,キリスト教徒が異教徒を迫害した歴史を注視しなければ、宗教あるいはキリスト教の真の姿はつかめない。
 (欧米から)各国に派遣されているキリスト教の宣教師たちは,キリスト教の負の歴史をどれだけ学んでいるのであろうか? 他国民を「教化」する前に、まず自分たちの先入観や偏見を取り払うべきではないか?