バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  
 この個人主義は,個人の霊魂の不滅という教義 -それは,場合(状況/境遇)によって,あの世において無限の悦びを享受するか,あるいは無限の悲しみを味わうことになる。- として頂点に達した。・・・メキシコやペルーにいたスペイン人たちは,かつて(常習的に),インディアンの赤ん坊に洗礼を施し,その直後に彼らの脳みそを打ち砕いていたのである。(つまり)こういうやり方によって,スペイン人たちはこれらの赤ん坊が天国に行けることを確保したのであった。正統派のキリスト教徒であれば -今日ではみな(感情的には)非難はするけれども- 誰も彼らの行為を非難する論理的な理由を見つけ出すことはできない。無数のやり方で,このキリスト教の形式による個人の(霊魂の)不滅の教義は,道徳に悲惨な影響を及ぼしてきており,また霊魂と肉体(心と体)の形而上学的分離は,哲学に対し悲惨な影響を与えてきたのである。

This individualism culminated in the doctrine of the immortality of the individual soul, which was to enjoy hereafter endless bliss or endless woe according to circumstances. ... The Spaniards in Mexico and Peru used to baptize Indian infants and then immediately dash their brains out: by this means they secured that these infants went to Heaven. No orthodox Christian can find any logical reason for condemning their action, although all nowadays do so. In countless ways the doctrine of personal immortality in its Christian form has had disastrous effects upon morals, and the metaphysical separation of soul and body has had disastrous effects upon philosophy.
 出典: Bertrand Russell: Has Religion Made Useful Contributions to Civilization? 1930.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0466HRMUC-080.HTM

 <寸言>
 人間は人間に都合のよい神を考える(想定する)。キリスト教徒はキリスト教徒に都合のよい神を考える。
 最近では、移民問題の関連で、イスラム教を邪教と考えてイスラム教徒を排斥したり、場合によっては迫害することさえも許されると考えるキリスト教徒も少なくない。そうして、天国を想定するだけでなく、地獄も併せて想定して、キリスト教の神を信じない者は地獄に陥ると考えたり信じたりする。一方イスラム教徒は・・・?