バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  
  ある種の一定の科学的な公平無私(の精神)は非常に重要な性質であり,それは信ずることが自分の責務であると想像する人には滅多に存在しない性質である。それゆえ我々は宗教が真理であるかどうかという問題を調べることなしに,宗教が本当に善をなすかどうかを決定することはできない。キリスト教徒,回教徒,ユダヤ人にとって,宗教の真理に関係ある最も根本的な問題は神の存在である。宗教がまだ全勢時代であった頃は,「神」という言葉は完全に明確な意味を持っていた。しかし合理主義者たちによる猛攻撃の結果,それはしだいに色あせてしまい,ついには人々が神を信じていると主張するときそれが何を意味しているのか知ることは困難な状態になっている。

A certain kind of scientific candor is a very important quality, and it is one which can hardly exist in a man who imagines that there are things which it is his duty to believe. We cannot, therefore, really decide whether religion does good without investigating the question whether religion is true. To Christians, Mohammedans, and Jews the most fundamental question involved in the truth of religion is the existence of God. In the days when religion was still triumphant the word "God" had a perfectly definite meaning; but as a result of the onslaughts of the Rationalists the word has become paler and paler, until it is difficult to see what people mean when they assert that they believe in God.
 出典: Bertrand Russell: Has Religion Made Useful Contributions to Civilization? 1930.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0466HRMUC-050.HTM

 <寸言>
 宗教を信じていると言っても,その内実は,宗教によって,また,人によって様々。
 現代において,宗教といえば,通常、一神教(絶対神)であるが,一神教が生まれる前は,ギリシアの神や日本の八百万の神のような多神教のほうが一般的であったと思われる。  特定の宗教について信じるにせよ,批判するにせよ,まず,宗教とは何か,神(絶対神)とは何か,個別の宗教(キリスト教,回教,仏教など)の教義について基本的な理解をしなければならない。