所有欲 - 物あるいは所有権(物に対する権利)をできるだけ多く持ちたい(所有したい)という願望は,必需品に対する欲求と(不足への)恐怖とが結びついたところにその根源がありそうな動機です。私は,かつて,飢饉のために死ぬことをやっとのことで免れたエストニアから来た二人の少女と友達になったことがありました。彼女たちは私の家族と一緒に住み,当然のこと,食べるものは十分ありました。しかし,二人は,暇さえあれば,近所の畑に行って,じゃがいもを盗み,それを貯えました。ロックフェラーも幼年時代に極貧を経験しましたが,大人になっても,同様な(エストニアの少女と似たような)生活ぶりをしました。
Acquisitiveness - the wish to possess as much as possible of goods, or the title to goods - is a motive which, I suppose, has its origin in a combination of fear with the desire for necessaries. I once befriended two little girls from Estonia, who had narrowly escaped death from starvation in a famine. They lived in my family, and of course had plenty to eat. But they spent all their leisure visiting neighbouring farms and stealing potatoes, which they hoarded. Rockefeller, who in his infancy had experienced great poverty, spent his adult life in a similar manner.
出典: Bertrand Russell: What Desires Are Politically Important? 1950.
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0944WDPI-040.HTM
<寸言>
物欲や所有欲は果てしない。食べるものは十分食べてしまえば一定期間がたって空腹にならなければいったん食欲(という物欲)はおとなしくなる。しかし、広義の物欲はとどまるところを知らない。世界を征服して自分のものにしたいと思った軍人は、自分が元気で権力をもっているかぎり、世界征服をめざす。