もし,政治が科学的であるべきであり,また出来事がいつも驚くべきものになるべきでないとしたら,我々の政治的思考は人間活動の源泉をもっと深く見通すものでなければならないということが是非とも必要です。空腹がスローガン(標語)にどのような影響を及ぼすか?(注:たとえば,戦時中のように「贅沢は敵だ!」と言っても,お腹がすきすぎると・・・,といったニュアンスか?) そのようなスローガン(標語)の効果が食事のカロリー数値とともにどのように変動するか? 一方の人間が民主主義を与え,別の人間が一袋の穀物を提供する場合,飢饉のどの段階で,投票権よりも穀物を選ぶのか? そのような問題はあまりにも考慮されていません。br>
If politics is to become scientific, and if the event is not to be constantly surprising, it is imperative that our political thinking should penetrate more deeply into the springs of human action. What is the influence of hunger upon slogans? How does their effectiveness fluctuate with the number of calories in your diet? If one man offers you democracy and another offers you a bag of grain, at what stage of starvation will you prefer the grain to the vote? Such questions are far too little considered.
出典: Bertrand Russell: What Desires Are Politically Important? 1950.
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0944WDPI-010.HTM
<寸言>
なぜいつまでたっても腐敗した政治家が生き残り続けるのか? なぜそういった政治家が選挙で選ばれ続けるのか?
合理的な思考だけでは理解が困難なそれらの現象を解明するためには、人間の個人心理や集団心理についてもっと探求するとともに、人間の潜在意識や無意識の影響についてももっと明らかにし、多くの国民が理解・自覚できるようにしなければならない。