バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  
 民主主義者の一般的意図は,力による政治を一般の同意による政治で置き換えることであるが,これには,ある種の一定の訓練を経験した民衆が必要となる。ある国民が,相互に憎しみあっているようなほぼ同数の二つの部分にわかれていて,互いに相手ののど笛にとびかかりたがっているような状態があるとすれば,半数より少し少ない方の側は,他の側の支配におとなしく従わないであろうし,また半数より少し多い方の側は,勝利のあかつきには,両者の不和を癒やすような穏健な態度を示さないであろう。

The general aim of the democrat is to substitute government by general assent for government by force, but this requires a population that has undergone a certain kind of training. Given a nation divided into two nearly equal portions which hate each other and long to fly at each other's throats, that portion which is just less than half will not submit tamely to the domination of the other portion, nor will the portion which is just more than half show, in the moment of victory, the kind of moderation which might heal the breach.
 出典: Bertrand Russell: Ideas That Have Harmed Mankind,1946.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0861HARM-210.HTM

 <寸言>
チャーチルは,「民主主義はひどいものである。ただし,歴史上存在したいかなる政治体制よりもましである。」といったそうであるが,ラッセルの発言も似通った趣旨であろう。
 しかし,そうだとしても,手続きの上だけの民主主義(多数決原理の形骸化)でよいとして安住する政治家が多い場合は,最悪の結果を招くことはありうる。よく知られていることであるが,ヒトラーも民主主義手続きで,ナチス党を第一党にし,多数決によって全権委任を勝ち得て,戦争(他国侵略)へと突き進んでいった。麻生総理は「ナチスの手口を学ぶとよい」と言ったが,半分冗談だとしても,こういった驕り高ぶった政治家を選挙で選び続ける選挙民も同様に愚かとしかいいようがない。