バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  
 アメリカでは,万人は平等であるという考えから,あらゆる人々が自分には社会的優越者(自分よりも「社会的に」優越する者)は存在しない,という意見をもっているけれども,自分よりも社会的に劣る者はいない,ということは容認しない。なぜなら,万人は平等であるという教義はジェファーソンの時代以来,自分よりも上の方には適用されるが下の方には適用されないからである。この間題については,人々が一般的論で言う場合には常に,深刻かつ広範な偽善が存在している。

In America everybody is of opinion that he has no social superiors, since all men are equal, but he does not admit that he has no social inferiors, for, from the time of Jefferson onward, the doctrine that all men are equal applies only upwards, not downwards. There is on this subject a profound and widespread hypocrisy whenever people talk in general terms.
 出典: Bertrand Russell: Ideas That Have Harmed Mankind,1946.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0861HARM-150.HTM

 <寸言>
 よく反省してみれば,自分は不平等に'扱われたくない'が他人を不平等に'扱いたい'人間性はよく理解できるはず。
 「忖度」(そんたく)だって同じこと。権力者や他人に対して優位にたっている者は,自分より下位の者には自分に対して「忖度する」ことを期待したり要求したりする。「忖度」は悪いことばかりではなく,他人に対する「思いやり」であるから必要だと開き直る者もいたりする。
 しかし,ごまかされてはならない。「思いやり」は上下の関係なくなされるものであるが,「忖度」は自分より上位の者に対する心遣い(おべっか)であり,下位の者に対して「忖度する」という言葉は使われない。