アメリカ人や英国人は,バルカン諸国についてよく知るようになると,ブルガリア人とセルビア人との間に,あるいはハンガリア人とルーマニア人との間に,相互に敵意をもっていることを学ぶと,驚くとともに軽蔑心を感じる。彼ら(アメリカ人と英国人)にとって,それらの(小国同士の)敵意は馬鹿げたものであり,またそれら小国のそれぞれがみずからの(相手国に対する)優越を信じていることには,まったく客観的根拠がないことはあきらかだと思う。しかし彼ら(英米人)の大部分は,大国の国民的自尊心(うぬぼれ)が.バルカン半島の小国のそれと同様に,本質的に正当化しえないものであることにまったく気づくことができないのである。
Americans and Englishmen, when they become acquainted with the Balkans, feel an astonished contempt when they study the mutual enmities of Bulgarians and Serbs, or Hungarians and Rumanians. It is evident to them that these enmities are absurd and that the belief of each little nation in its own superiority has no objective basis. But most of them are quite unable to see that the national pride of a Great Power is essentially as unjustifiable as that of a little Balkan country.
出典: Bertrand Russell: Ideas That Have Harmed Mankind,1946.
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0861HARM-110.HTM
<寸言>
人の振り見て我が振り直せ。