バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  

 政治的に有害である誤まった信念を生じさせるもう一つの情熱は高慢(pride うぬぼれ)  −国籍,人種,性,階級,あるいは,信条に対する高慢(うぬぼれ)− である。私が小さい時,フランスはいまだ英国の伝統的な敵国とみなされており,また,1人の英国人は3人のフランス人をやっつけることができるということを,疑問の余地のない真理である,と思った。(だが)ドイツが敵国となると,この信念は修正され,英国人はフランス人が,蛙を喰う傾向があるのを嘲笑することを止めてしまった(注:フランスはドイツと戦ってくれる「味方」になったため)。

Another passion which gives rise to false beliefs that are politically harmful is pride - pride of nationality, race, sex, class, or creed. When I was young France was still regarded as the traditional enemy of England, and I gathered as an unquestionable truth that one Englishman could defeat three Frenchmen. When Germany became the enemy this belief was modified and English people ceased to mention derisively the French propensity for eating frogs.
 出典: Bertrand Russell: Ideas That Have Harmed Mankind,1946.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0861HARM-110.HTM

 <寸言>
 小さい時から食べ慣れていれば「げてもの」でも平気で食べることができる。日本人は「タコ」を平気で食べるが、「タコ」は気持ちが悪くて食べられないという欧米人も多い。  食べるものの場合は、単なる趣味や習慣の違いだと笑い飛ばすことができるが、国籍や人種や性や階級や信条に関する好き嫌いは、子供から培われた偏見や先入観が影響していても、笑ってやり過ごしたり、反省したいすることがなかなかできにくい。やはり、どうしてそのような考えをもつようになったのか、その原因をよく理解し、反省してみることは食物以上に重要である。