ヨーロッパにおいては,ある国が別の国よりも明らかに優れているということはない。従って,(ヨーロッパにおいては,)旅行は,人間の視野を拡大し,共感する力を強め,人類についての知識を増やすという効果を有すると言ってよいだろう。この効果は,彼らが訪ずれる外国の住民との間に重要な関係を持たらす仕事をするために旅行する人たちに対しては生ずるが,単に旅行のために旅行する人たちに対しては生じない。
In Europe there is no such obvious superiority of one country to another. It might therefore be expressed that travel would have the effect of broadening men's outlook, enlarging their sympathies, and increasing their knowledge of mankind. This effect is produced in those who travel in order to do some work which brings them into important relations with the inhabitants of the foreign countries in which they find themselves, but not in those who travel merely in order to travel.
出典: On locomotion, Mar. 11, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
詳細情報:http://russell-j.com/IDO.HTM
<寸言>
海外旅行は見聞を広めるための大変良い機会ですが,観光業者が用意した快適な観光資源(観光開発地区・観光施設・催し物・お手頃な食事や文化情報など)を楽しむことが中心ならば、長い目で見れば、一時的な快楽に終わりそうです。国際交流や世界平和の一助にはなりますが・・・。