バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  
 かなり長いこと同じ事柄に注意を集中できることは,困難な事柄を達成するために,また,複雑または難解な問題を理解するためにも,不可欠である。強い自発的な興味があれば,その興味の対象に関するかぎり,このような集中力はおのずともたらされる。大部分の人は,機械的なパズルには長時間注意を集中することができる。しかし,この種の集中力は,それ自体ではあまり有益ではない。集中力が真に価値あるものになるためには,それはまた,意志によってコントロールされるものでなければならない。

To be able to concentrate on the same matter for a considerable time is essential to difficult achievement, and even to the understanding of any complicated or abstruse subject. A profound spontaneous interest brings this about naturally, so far as the object of interest is concerned. Most people can concentrate on a mechanical puzzle for a long time ; but this is not in itself very useful. To be really valuable, the concentration must also be within the control of the will.
 出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:Education of character, chap. 14: General principles
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE14-060.HTM

 <寸言>
 集中力は誰にとっても必要な能力であるが、1)強烈さ(強さ),2)持続性,3)自発性の3つの要素がある。
 しかし、 つまり、集中して「欲しい」対象は立場によって異なる。

 企業経営者にとっては、社員が仕事に熱心で、集中し、指示しなくても、どんどん仕事をこなしてほしいと思う。
 政治家は、国民が「一億総活躍」してくれることを望む。しかし、閣僚や与党関係者の腐敗や権力乱用に対し、持続的にしつこく追求することを望まず、政府に従順であることを期待する。(そのような集中力は望まない。)

 国民は個人の立場では、自分の興味のあることについては、集中できる機会や時間が多くあることを望むが、政府権力者や財界人(経営者)は、サービス残業などを国民や社員が自主的にして、安い給料でまじめに働く人間を好む。