バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  
 科学によって現在私たちが手に入れつつある幼児の心を形成する力は,とても恐ろしい力を有しており,致命的な誤用(悪用)の可能性があるものである。もしも,その力が悪人の手に落ちたとしたら,気まぐれな(人間が制御できない)自然界よりもさらに残忍で残酷な世界を生み出すかもしれない。

The power of moulding young minds which science is placing in our possession is a very terrible power, capable of deadly misuse; if it falls into the wrong hands, it may produce a world even more ruthless and cruel than the haphazard world of nature. Children may be taught to be bigoted, bellicose, and brutal, under the pretence that they are being taught religion, patriotism, and courage, or communism, proletarianism, and revolutionary ardour.
 出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:Education of character, chap. 13: Nursery School
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE13-080.HTM

 <寸言>
 その人(たとえば政治家)がどのような人間観、国家観をもっているかは、教育に対する考え方によく現れる。「正しいこと」を子供に吹き込み、国家(実際は少数支配層)に尽くす国民に育てたいと思うか、「自分の頭で考える」「個性をもった」人間(従って、簡単に代替できない価値をそれぞれが保有している者)を育てたいと思っているかで、その人(政治家)の人間観や国家観を推し量ることができる。
 また、「国民のため」「国民の生命を守る」といった言葉を連呼する政治家も自分の子どもに対しては特別な愛情を持っていても、国民一般、あるいは抜きん出た才能を持っている人間以外については、国家のための一つの駒ぐらいにしか考えていないことはよくあることである。