人間にかかわる他の事柄と同様に,教育においても,進歩への道はただ一つしかなく,それは,即ち,愛に支配された(掌握された)科学である。科学がなければ,愛は無力である。(また)愛がなければ,科学は破壊的なものとなる。・・・中略・・・。
教育は,愛によって鼓舞されなければならず,子供たちの中にある愛を解放することを目指さなければならない。さもなければ,教育は,科学的な技術の進歩とともに,より効果的に有害になっていくであろう
There is only one road to progress, in education as in other human affairs, and that is : Science wielded by love. Without science, love is powerless; without love, science is destructive. …
The teaching must be inspired by love, and must aim at liberating love in the children. If not, it will become more efficiently harmful with every improvement in scientific technique.
出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:Education of character, chap. 13: Nursery School
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE13-080.HTM
<寸言>
科学の現代社会に対する影響は非常に大きなものとなっている。しかし、科学は「善用」できるとともに「誤用」の恐れもある。科学は価値や目的については何も語らない。人間が、地球や自分たちのことをどんなにすぐれている(例:神が人間を創造した)と思ったとしても,科学(特に宇宙論)の視点から見れば,地球は宇宙の中のひとつのかけらにすぎず、個々の人間は塵の一つにすぎない。地球が50億年後に太陽に飲み込まれ燃え尽きようとも、それは良いとも悪いとも、何も語らない。
しかし、善い悪いは別にして、我々人類は、自分たちがどうなろうとも(どんなに苦しもうと)たいしたことではないと考えることはできない。これは科学の問題ではなく、我々人類の感情の問題である。