バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  
 私が初めて『オリヴァー・トゥイスト』を読んだのは14歳の頃であったが,その小説はもっと幼いころなら到底耐えられなかったような恐怖感で私の心を満たした。恐ろしい事柄は,ある程度の平静さをもって直面できるほどの年頃になるまでは幼い子供に知らせるべきではないだろう。この時期は,一部の子供の場合,他の子供よりも早く訪れるであろう。(従って)想像力に富む子供や臆病な子供は,鈍感な子供や生まれつき勇気に恵まれた子供よりも長い間保護してあげなければならない。子供が不親切の存在に直面しないうちに,親切を期待するために恐怖(心)を持たないという心の習慣をしっかりと確立してあげなければならない。

I was about fourteen when I first read Oliver Twist, but it filled me with emotions of horror which I could scarcely have borne at an earlier age. Dreadful things should not be known to young people until they are old enough to face them with a certain poise. This moment will come sooner with some children than with others : those who are imaginative or timid must be sheltered longer than those who are stolid or endowed with natural courage. A mental habit of fearlessness due to expectation of kindness should be firmly established before the child is made to face the existence of unkindness.
 出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:Education of character, chap. 11: Affection and Sympathy
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE11-130.HTM

 <寸言>
高校生になっても、世の中の悪の存在及びそれによって苦しんでいる多くの人々がいることについて知らないというのではなさけない。かといって、まだ冷静に自分の頭で考えられない時期にそういった諸悪について多量の情報を与えるのもよくない。

 幸か不幸か現代においてはマスコミが発達しており、(時の政権さえ批判しなければ、また支配層に不都合な事実を報道しなければ)民主主義国においては「報道の自由」がそこそこあるので、子どもたちにも、大量の、諸悪に関する情報が日々与えられている。そういった意味では、子どもたちは、悪に関する情報を大量に浴びている。

 従って、そういった情報の受け止め方、処理の仕方を学ぶこと(いわゆるメディアリテラシー教育)がとても重要となっている(ただし、日本では「メディアリテラシーといっても、PCのハードとソフトの使い方の教育に堕している)。しかし、日本では、(機械的/形式的に)「客観性」にこだわる学校教育やマスコミに対する不当な監督及びマスコミ関係者側の(政府を始めとした支配層に対する)忖度によって、そういった教育ができない状況となっている。「客観的な」報道に形式的にこだわるのではなく、正反対の意見を紹介し、恣意的な判断を加えずに、情報の受け手に判断をする論理的な訓練をすればよいのであるが・・・。