バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 そうした内省の5分間が過ぎた時,私はまったく違った人間になっていた。・・・。それ以前は帝国主義者であったが,その5分間の間に,ボーア人の味方となり,平和主義者となった。長年の間,ただ精確さと分析をのみ好んできたが,(5分の内省の後)美に対する半ば神秘的な感情,子供に対する強い関心,また,人生を堪えることができる何らかの哲学を見いだしたいという釈迦の場合と同じような深い望みに満たされている自分を発見した。

At the end of those five minutes, I had become a completely different person. ... Having been an Imperialist, I became during those five minutes a pro-Boer and a Pacifist. Having for years cared only for exactness and analysis, I found myself filled with semi-mystical feelings about beauty, with an intense interest in children, and with a desire almost as profound as that of the Buddha to find some philosophy which should make human life endurable.
 出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 5: First marriage, 1967
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB16-040.HTM

 <寸言>
 ここでは「理論的な」平和主義者ではなく,「心情的な」平和主義者の意味。ラッセルは後に,ヒットラーを打倒するために,第2次世界大戦を支持したことから,平和主義者として一貫していないと非難された。それに対しラッセルは,防衛のための戦争の中にはやむを得ないものもあることから,「自分は'理論的な'絶対平和主義者であったことは一度もない」と弁明した。しかし,アメリカに続いてソ連も核兵器を保有するようになってからは,特に1953年のビキニの水爆実験以後は,いかなる小規模な戦争も核戦争に発展する可能性があるということで,'実質的な'平和「主義者」として,死ぬまで反戦・反核活動に尽力した。