バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 芸術家や文学者は、結婚生活が不幸であることが職業柄必要(礼儀上必要)だと考えているが、科学者はしばしば、いまだに古風な家庭生活の幸福が可能である。その理由は、彼ら科学者の知性の高級な部分はすべて仕事に吸収されてしまっており、彼らが果たすべき役割のない領域に踏みこむことは許されないからである。(半分冗談)

Artists and literary men consider it de rigueur to be unhappy in their marriages, but men of science quite frequently remain capable of old-fashioned domestic bliss. The reason for this is that the higher parts of their intelligence are wholly absorbed by their work, and are not allowed to intrude into regions where they have no functions to perform.
 出典: The Conquest of Happiness, 1930, chap. 10: Is Happiness Still possible?
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/HA21-020.HTM

 <寸言>
 自然科学の場合は,まず科学的探求と倫理や価値との関係をあとまわしにして,科学技術の成果をどのように利用するか’(善用・悪用)は,科学の問題ではなく,人間個人(あるいはグループ)の問題とすることができる。
 これに対し,自然科学以外,特に人文科学は,研究そのものが倫理や価値の問題と密接に結びついている。
 そういった事情で,自然科学者は,自分の研究の倫理的問題に悩むことはあまりないが,人文科学や社会科学の研究者は,倫理的な問題(価値に関わる問題)を常に意識していなくてはならず,自然科学者とは人種がまったく別であるかのような性格をもつようになりやすい。