余暇(時間)と健康を努力して獲得したとしても,誰もそれらの活用(の仕方)を心に留めない(注意を払わない)とすれば,それらに,いかなる善さがあるというのだろうか? 物理的な害悪との闘いは,他のすべての闘い同様,人間が平和な学問や芸術にたずさわれなくなるほどの激しさをもって行なわれてはならない。究極的な価値として世界が所有しているものを,害悪との闘いの中で消滅させてはならない。
What will be the good of the conquest of leisure and health, if no one remembers how to use them? The war against physical evil, like every other war, must not be conducted with such fury as to render men incapable of the arts of peace. What the world possesses of ultimate good must not be allowed to perish in the struggle against evil.
出典: On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 1:Postulates of modern educational theory.
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE01-060.HTM
<寸言>
昔と比較すれば,現代人(特に先進国)は余暇をたくさん持てるようになった。健康にも充分注意を払い,平均寿命もかなり延びてきている。しかし,余暇の賢い使い方がわからず,くだらないことに多くの時間を費やすようでは,どれだけ人間の幸福を増進できるというのであろうか。お金の場合も同様であろう。経済的に余裕があるのに越したことはないが・・・
小人閑居して不善を為す。