非暴力による抵抗は確かに重要な役割をもっている。たとえばガンジーが反英国闘争においてインドを勝利に導いたようにである。しかし,しかし,非暴力抵抗(の成功)は、それが適用される側の人々に一定の美徳が存在するかどうかに依存している。インド人が鉄道線路に身を横たえ,轢き殺されようと当局に挑んだ時,英国人はそのような残酷な行為はとても堪えられないと感じた。しかしナチスはそれと類似の情況にあっても何のためらいも示さなかった。
It (= Non-violnet resistance) certainly has an important sphere; as against the British in India, Gandhi led it to triumph. But it depends upon the existence of certain virtues in those against whom it is employed. When Indians lay down on railways, and challenged the authorities to crush them under trains, the British found such cruelty intolerable. But the Nazis had no scruples in analogous situations.
出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 5: Later Years of Telegraph House, 1968]
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB25-030.HTM
<寸言>
この後に次の言葉が続きます。
「トルストイは,権力の保持者も無抵抗手段にあえば道徳的に再生させられるだろうということを,非常に偉大な説得力をもって説いたが,1933年以降のドイツに対してはそれは明らかに真理ではなかった。トルストイは,権力の保持者がある点を越えてまで冷酷ではないという場合にのみ正しい。しかし,ナチスの冷酷さはこの限界点をはるかに越えていた。」
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